想像をはるかに超える (ページ36)

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「ん…。」

朝の気配に目覚ましより早く起きた。

少しでも動くと、彼はセンサーが設置されてるのか、キュッと少しだけ力が入る。

誰にでもそうなのかもしれないけど、言葉にされるよりも、寝ている無意識な状態で示される行為に、何よりも愛を感じる。

私は、大事に思われてる。
私は、何より愛されてる。

彼だけが私を満たしてくれて、私を歪めずに見てくれる。

私が歪まずにいられる。
ありのままの…少し…普通と違う…そんな私でも受け入れてくれる。

くるんと、グーちゃんの方を向く。
枕元のスマホを取って、目覚ましを解除する。
口を開けて寝てるのに、可愛いって何事？
涎垂れてても尊いとは？
イビキすら、愛おしいとは？
え、すっごい腕ビクってなった。

いったい何この…あっ！眉間に皺寄せた！

眉間に皺寄せると一気に漢感と色っぽさを漂わせるのは何なの？

何事？
あ、ダメだ。

見つめてないで起きないと…。
そっと布団を抜け出して、用意を始める。

完全熟睡モードで全然目を覚さないぐーちゃんを見ると、いつの間にか腕の間に布団が集められていて、それを抱きしめて寝てる。

寂しがり屋さんなんだね。

そっと髪にキスをして、寂しい気持ちになった。

さっき感じてた幸福感が萎んだ。

きっと…この人は…横にいるのが誰でも同じように抱きしめてくれるだろう。

無意識に布団をかき集めてるくらいなんだから。

それが、布団でも人でも何ら変わらないんだろう。

寂しくて優しくて、人を愛せる人。

職場に着くと、全ての感情を落とす。

やる事山積みだ。