瀬見英太[言ってよ] ページ32
英太が友達と遊んでいるのを座って横目で見た。
楽しそうに雑誌を見ながら話している。
「俺はこっちの方が好き」
あ、女の子から飴貰ってる。
「おー！サンキュー！これ好きなやつだわ！」
今度は先生に呼ばれて、プリント提出しろとか言われてる。
「せんせぇー、俺に肩揉まれるの好きって言ってたよね？肩揉み券使わせてもらうんでちょっとだけ待ってほしいっす！」
先生より英太の方が背が頭一個以上高く、その下にいる先生の肩をニコニコしながら揉み始めた。満更でもない先生。
めっちゃ言ってるし。
まぁあれらは会話の中のことなんだけど。
でもムカつく。
英太に私は好きと言ってもらったことがない。
付き合う時も私からだったし、言ってといってもはぐらかされるし。
最初はまぁいっかと思ったが、言われないと不安になる。
私がこんな気持ちなのも知らず英太が近づいてきた。
「A！プリント提出忘れちゃってさぁ、ちょっと教えてくんない？」
『……見して』
はね返してやろうかと思ったけど、英太からプリントを貰い一緒に行った。
やっぱA頭いいわーとか言いながらペンを走らせている。
近くで英太を見てやっぱ好きって思うし、好きだって思ったら言いたくなる…のが普通じゃないのか？
"今からそっち行く"
スマホの画面を見て、了解と送信した。
私も英太も寮にいるので、消灯時間までいつも女子寮の近くで会っていた。バレーで忙しいので学校ぐらいでしか話せない。でも英太はなぜか男女に人気で、２人きりで話せることが少ない。
この時間が唯一の2人だけの時間だった。
「悪ぃー、遅れたわ」
髪の毛を乾かしきれない頭をしてやってきた。
『えーよ、待ってへん』
「笑。なんで関西弁？笑」
『なんとなく』
「Aウケるな」
ははっと笑っていた。このなんともない時間がすごい好き。
ってか、英太と２人きりってのがいいんだけど。
「あー、またラブラブしてるしー」
声がした方を向くと私の友達がいた。英太も知ってる子。格好を見ると学校をランニングしていたよう。
『ランニングおつかれさま』
近づいてきた友達に言った。めっちゃ疲れたし、と飲み物を飲んでいる。そろそろ試合近いから追い込みっといって話していたら、
「ねぇ、髪の毛切った？」
英太が突然話しに入ってきた。
「え、あー、そうそうこの前の日曜日切ったんだーどう？」
「んー、俺はそっちのが好きかなぁ」
また言ったし、ってか今のは人に対して言った感情的なやつだよね？！
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作者名：フラムボン
| 作成日時：2019年9月26日 15時
