宮治2 ページ28
公園は誰もいなかった。
「…で、なんやったっけ」
ベンチに座って落ち着いた。
『私も忘れたわ』
砂場にある忘れられたおもちゃに目がいった。
「俺はお前が思うとるよりAのこと好きやから」
『…私も治が思うとるより好きやし…』
だから嫉妬もするし、私だけのものなのにって思う。束縛とかしたくないけど、全部私のものになればいいのにって思った。
『治の全部が欲しい』
「……は？」
『全部くれたら嫉妬とかしない…たぶん』
100%私のって思えなきゃ安心しないと思う。でもそれは無理な話しで、むしろ全部欲しいって一体なんなんだ、と思ったら笑えてきた。
「……お前……ぶっ込んでくるなぁ…」
隣の治が両手で顔を隠して赤くなっていた。
なぜだ。わからなかった。
『治、なに、どーしたん？』
今度はこっちが覗き込む。
「……A、自分がなんてこと言ったかわかっとる？」
『だからなにが？』
治が言いたいことがよくわからなかった。
「俺の全部って…そうゆう風に言ってるようなモンやろ。俺にはそう聞こえた」
まだ顔を隠したまま話していた治を見て、少し考えた。
ーーーーん？治の全部…全部が欲しい………あ。
『て、訂正させてください！』
慌てて治に言った。
「却下します」
『なんでやねん！！それには違う意味で言ったのであってなぁ、なんかそっち系に聞こえたならゴメンて！』
「もうAは俺に抱かれたがって仕方がないと変換したから無理やわ」
『なにそれ！そんなん思ってへんわ！』
私の発言を聞いて顔を上げて見てきた。
「…ほんまに？俺に抱かれたないって思うとる？」
治は甘い時間を作るのが得意だ。いきなり声色を変えてそうゆう風に聞いてくる。
『…っそ、そんなこと…』
上手く言い返せない。
本当は試合中の荒々しいプレーを見てたりすると、あの身体に抱かれてみたいと、あんな感じで抱かれるのかと、想像してウズウズしていた。
「…ん？なに？聞こえへんて」
優しくゆっくりとした治の低い声が身体を震わせる。
『…だ、抱いて欲しいって…いつも思っとった…』
消え入りそうな声で答え治を見上げた。
治は熱をもったような、切ないような顔をしていたが、でも大好きな顔から目が離せなかった。
「…あー、自分からこんな雰囲気作っといてもうこれアカンやつやん」
上を向いておでこを自分の手で覆った治の手を、私がおでこから剥がして、両手で握った。
『…私ももうアカンから同じや』
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作者名：フラムボン
| 作成日時：2019年9月26日 15時
