[HQ] 甘&激甘①[短編集] (ページ27)

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宮治 [最後の一押しは強引に] ページ27

キャー！！
近くを歩いていた私は黄色い声がした方を向いた。

体育館で放課後にバレー部が練習試合をしていた為だった。
チョロっと覗いてみたら、女女女女…。
お目当ての選手が決める度にキャー！！と元気な声がする。

コートを見ると金髪が銀髪に何か作戦でも立てているのだろうか、真剣な顔で話していた。
女の子たちはほとんどこの金銀兄弟のことを観に来ている。
なので黄色い声援はこの2人によって作られたもの。

また決めるとキャー！となった。その様子を見てから私は立ち去った。

「疲れたわ～」
『おつかれさん』
「A、お前今日一瞬来てすぐいなくなったやろ」
試合が終わり、一緒に帰っている時に指摘された。
『あ、バレてた』
「バレバレや。俺はAがおるとすぐわかる」

ふーん。
あんな女女女だらけの中から一瞬しか見てない私を見つけてくれるのは嬉しかった…が、ちょっと素直になれなかった。

『私おらんくても、女の子達の声援で勝てたからよかったやん』
「…なに、お前喧嘩ふっかけとんの？」
治が少し怒った口調になってビビったが、こっちも引けなくなった。

『…っ…だってそうやん。実際嬉しいんやろ？女の子にキャー言われて…」
プイっと治ががいない方を向きながら話した。

「……フッ。やきもちやん、完全にそれ」
『やきもちやない！』
馬鹿にされている感じで言われて腹が立つ。
でも治はそんなの御構い無しに私の顔を必死に覗こうと動いている。私も今の顔を見られたくないので逃げ惑う。

「お前しつこっ！顔見せろ！」
『いややー！！』
最後は自分のカバンで顔を隠したが、呆気なく奪われた。

「おー、やっと観念したか」

私は気付いたが遅かった。
『…ちょっと治…ここ道…』

私たちの周りの人は白い目をして見ているのに気がついた。ギャーギャーしていたのを見られていたので恥ずかしくなった。

「……公園行こか」
治の後を追った。