夜久衛輔2 ページ26
「じゃあ…ちょっとずつ慣れてみるか」
そう言ってAの方の手を出す。
「はい、手出せ」
ゆっくりAの手が俺に重ねてきた。
重ねたところを離れないように指を優しく絡ませた。
初めてAと手を繋いだ。柔らかくて小さくて、俺の手にすっぽり入る。
「…どう？」
顔を覗き込んで聞いてみた。
『……うん、なんかド○○キするけど嬉しい…』
へへっと笑うAに駆り立てられた。
「次はAのこと抱き締めるからリラックス」
『！？』
1回繋いでいた手を離して、Aに近寄った。
『…っちょ…急すぎない？！』
少し後ずさりをするAの腕を捕まえた。
「俺がやりたいからする、Aは黙って抱かれろ」
『…え、は、はい…』
足の間に入るよう膝を立てて開き、座っているAを抱きしめた。
抱きしめた後、Aは肩で大きく息を吸って吐いていた。
「…どうだよ」
平然とAに聞いたが、思ったよりAがフワフワでシャンプーの匂いがして、俺がどうにかなりそうだった。
『……夜久くん…私も抱きしめたい』
この状況でそれを言うな。
俺の心臓が早くなった。
しかもさっきまで恥ずかしがってたのにえらい違いだ。
そう思って聞いてみた。
「お前…さっきと全然違うじゃん。慣れてきた？」
『そうかも…。』
ゆっくり俺の背中に手を回して抱きしめてきた。
『夜久くんの心臓の音聞こえる…ちょっと早い？』
「そりゃ好きな女のこと抱いてるからな。緊張もする」
『試合前とどっちが緊張する？』
「……緊張の種類が違う」
なにそれと笑い声が耳に届く。
もうAもリラックスしてきていた。
そしてAの耳元で囁いた。
「じゃあ…もう一段階いってもいいか？」
『…いいよ』
コクっと頷いたAが可愛かった。
ちょっとお互いの身体を離した。
Aは伏し目がちだったのをゆっくり俺に目線を合わせてくれた。
ちょっと下にある唇に顔を斜めにして近づいていくと、Aも上を向きながら目を瞑ってくれた。
口を少しだけ開けてAの唇を軽く噛みながらキスをした。
唇が合わさった瞬間Aは肩が少し上がった。
でもそれも愛おしいと思った。もっと欲しくなる。
俺は食べるように唇を離してはまた口づけたりを繰り返した。
Aも応えるようになってくれて。ゾワゾワした、身体の芯から。
しばらく経って唇を名残惜しく離して、Aの耳に唇が触れるように言った。
「…次の段階にいきたくなるんだけど？」
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作者名：フラムボン
| 作成日時：2019年9月26日 15時
