[HQ] 甘&激甘①[短編集] (ページ25)

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夜久衛輔 [もっとこっち] ページ25

「こっち」
『むーり！！』
「おい」
『やーだ！！』

Aはすごい恥ずかしがり屋だ。
このせいで手繋ぎもキスももちろんその先もまだない。
今日久しぶりの休みなのに部屋で離れて座っている。

「来いって」
『むりむり！』
「…そろそろ怒るぞ」
『………』
はぁー、とため息をつく。

付き合いたての頃はその恥ずかしがるところも可愛いと思っていたが、随分経ったがまだ慣れてくれない。や
本当は俺も甘い雰囲気とか作りたいのにAがこれじゃあダメだ。

3度目の正直でもう一回誘ってみる。
「おーい、こっち来る気ねーのかよ」
『ない』
「お前…」
即答かよ。
何度誘っても来てくれないAに呆れて、もーいいわ、と言って雑誌を読み始めた。

同じ部屋にいるのにおのおのの時間を過ごしている。なんだこれ。
何のために一緒に過ごしているのかわからなくなってきた。

雑誌を読んでるフリをして考え事をし始めた。

あー、明日も朝練早ぇーし、リエーフのレシーブ特訓しなきゃなんねーし、あ、○○○に言わなきゃなんねーことあったんだ、それと数学の課題…

『…夜久くん……』

遠く離れたところから消えそうな声で突然呼ばれた。

「なに」
俺はAの態度に怒ってたのでイラついた声で返事をした。

『……やっぱそっち行ってもいいですか……』
すげーモジモジしてる。ちょっと意地悪したくなった。

「俺のことどうでもいいんだろ、さっき呼んでも来ねーし」
『…っそれは、その………………ごめん』
素直に謝ってくれたら、イライラしてたのがなくなった。

「ったく、お前素直じゃねーなぁ。こっち。」
そう言ってポンポンと俺の隣の床を叩いた。
トトトっと歩いて隣に体育座りで座った。
やっと来た。

「で、お前そろそろ慣れろよ」
『…………うん」
体育座りで顔の下を膝で隠して話している。

「Aがそんなんだと俺まで緊張うつるんだけど」

『……夜久くんが……かっこよくて…好きすぎて…近くいると……心臓壊れるから……』
すぐはムリと顔を膝に全て隠した。

隣で丸くなって蹲っているAが慣れない理由がわかった。

これは……ヤバい。

「…俺もAのこと好きだし、近くいると緊張してド○○キする。でも好きだから近くにいたいと思う」
『……っ本当はっ、私ももっと近くにいたい…けど…なんか自分が変になりそうで…』

体育座りをしながら顔と耳を赤くさせて切なそうに床を見つめて話しているAが無性に欲しくなった。