影山飛雄 [離れるのが勿体なくて] ページ23
設定は幼馴染で付き合ってないです。
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『また失敗した…』
親指でやる気をなくした。
今まで何回、何百、何万…はわからないが上手くいったことがない。
絶対失敗してしまう。
ガタガタになるのでいつもヤスリで削って整えている。
「おい、使ってないなら貸せよ」
『お先にどーぞ』
幼馴染の飛雄がうちに遊びに来ていた。飛雄が爪切りをしていて、私も爪が伸びていたので切ろうとしたら、親指で戦意喪失した。
『飛雄は上手だね〜！！私とは大違い』
「まぁよくやってるからな」
パチンパチンと爪切りで切って、その後ヤスリをかけていた。
出来上がったようなので見せてもらったら女子より女子の爪になっていた。
『私にもやって！綺麗な爪になりたい！』
「えー、めんどくせーからやだ」
『いいじゃんよー、プリン1週間買ってあげるから』
「…………手出せ」
ふふっ、簡単に引っかかった。
飛雄は爪切りを持ち、私の爪を切り始めた。
しかし、ん？ん？と言って止まってしまった。
『なに、どうしたの？』
「なんか…人の爪やるのむずい」
相手側からだとやりづらいようだった。
「…あ、じゃあこうするわ」
『え？』
そういうと私の後ろに座り、爪切りを始めた。
ーーーーこ、こ、これは…！！！
後ろから抱きしめられているような状況である。
さっき手を握られていてもなにも感じなかったが、この体勢で手を握られ爪を切られていると、すごく恥ずかしくなった。
飛雄はそんなこと気にせずに1週間プリンのために爪切りをしていた。
私だけが焦り、熱くなり心臓がバクバクして、手汗をかいていた。
「Aなんかいい匂いすんな」
飛雄はただ思ったことを口にしただけなので、 爪切りを平然と続けている。しかし今の私には刺激的な言葉だった。
『…あ、あぁ…そっすか…』
ーーーー飛雄…爆弾投下するのやめてほしい…
自分がいつもやってる風に見えてやりやすいのか、集中して爪切りをしてくれている。
私もその様子をジッと見つめる。
上手だなーと思いながら、見ていたら左手が終わり、
「反対」
と言われて右手を出した。
再びジーっと見ていたら、飛雄の心拍がドクンドクンと伝わってきて、心臓の音が伝わるぐらい近いんだと落ち着いていたがまた緊張してきた。
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作者名：フラムボン
| 作成日時：2019年9月26日 15時
