孤爪研磨 [結う時] ページ17
『髪の毛結んでいい？』
「嫌だ」
『邪魔じゃん』
「いいの」
本日何回目かのやり取り。
研磨はボブっぽいから結べるはず、でも嫌がられる。
『ハーフアップとか絶対かっこいいし、似合うと思うよ？』
「…」
ゲームをしていた目線を上げてずっごい嫌な目で見てきた。
「自分の髪の毛で我慢して」
『ヤダー、研磨の髪の毛でやりたいー』
ゲームしてる手が止まって、じゃあさ…と言って
「…俺にもAの髪の毛結わせてくれたらいいよ」
『そんなの全然オッケーだよ！！』
そうしてベッドを背もたれにしてる研磨の真後ろのベッドの上に座った。
「痛くしないでよ」
『なんか初めての関係もつ彼女みたい…』
「……アホなこと言わないで」
後ろを向いて呆れられた。
研磨の髪の毛は金髪だからちょっと傷んでて、キシキシする。頭半分に手を入れて１つにまとめた。
ちょっと無造作にするのがかっこいいと思い、ザックリ結った。
『できた！やっぱかっこいい〜！」
前の方は後ろに届かないから垂れ流されて、研磨の気怠い表情とのギャップがたまらない。
「引っ張られて痛い」
『でもめっちゃかっこいい！これで外歩いたらナンパされちゃうよ！』
どーしよーと言いながらキャッキャしていた。
「…はい、次はAね」
騒いでいた私を下に移動させ、研磨がベッドの上に登った。
「ゴム貸して」
『…』
「また変な想像してるし」
『研磨が言うとなんかね…』
研磨にゴムを渡すとサワサワと触ってきてちょっと心地よかった。
時間ががかかるなーと思っていたら編み込みしていた。
「研磨…上手！」
『手先は器用だからね』
突然耳に手が触れて肩がビクっとしてしまった。
「…なに、感じたの？」
『っそんなこと…』
次に意図的に耳を触られて
『…やっ』
甘ったるい声が出てしまう。
「そんな声出させるために髪の毛結んでるんじゃないんだけど」
前屈みになり、耳元で呟いてきた。
研磨が下に降りてきて、私が作り上げたいつもより割増かっこいい彼氏と目が合った。
甘い空気も手伝って研磨に見惚れてしまう。
「…あ、前が結べてなかった」
顔にかかった髪の毛を耳にかけながら
「Aにこんな顔させられるならたまには髪の毛結んでももいいかな。欲しがられる顔ってそそる」
薄く笑っている研磨から視線が外れなかった。
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作者名：フラムボン
| 作成日時：2019年9月26日 15時
