二口堅治 [しゃがんで] ページ13
「ほれ」
『ちょっと！！堅治！！』
「がんばれー」
先生に提出しなきゃいけないプリントを集めていた。堅治のも貰おうとしたらヒョイっと上に持ってかれ、先ほどの会話をしていた。ジャンプしても届かない。
『そろそろ本当に持ってかなきゃ行けないんだけど！』
「…はい」
やっと私の目の前に置いてくれたが、取ろうとした瞬間またちょっと上に上げられ、取り損ねた。
『いい加減にしてー！』
ごめんごめんと言いながら最後はちゃんと渡してくれた。
ーーーーくそっ、アイツめ…
ジト目をして堅治の背中を見つめた。
なんだか最近首が痛い。
寝違えたか、と思い出してもそんなことなかったよなぁと考える。
「A、…何してんの？」
席に座って首をコキコキ左右に揺らしている私を見て堅治が話しかけてきた。
『なんか最近首が痛くてさぁ』
ふーん、と相槌をうって私の前の席が空いてたので座りだした。
「それ寝違えただけだろ」
『いや、違う気がする』
「湿布でも貼っとけ」
『やだ！！なんかオバさんくさいじゃん！』
いつかはみんなおばさんになると言いだした。
「ってか、今日部活早く終わるから教室で待ってろ」
『りょーかいした』
そう私が言うと堅治は自分の席に戻っていった。
誰もいない教室ってのもいいなぁと一人きりの教室を歩き回った。
教壇に立ってみた。なかなかクラスを見渡すことがないので新鮮だった。
ーーーー先生はこんな感じで見てるのか
––––––––––ガラガラ
音がする方を見たら教室の後ろのドアが開き、堅治が入ってきた。
『お疲れ様』
教壇に手をつけて声をかけた。
「アナタ先生ですか」
机と机の間を通ってこちらにやってきた。
『先生の気持ちになってみたんだよ』
「で、何かわかったことある？」
『よく見渡せるなぁと』
すると堅治はキョロキョロ教室の廊下を窺っていた。
「ん」
ぶっきらぼうな言葉だが、私に向かって少し前屈みになり顔を向けて言った言葉の意味がすぐわかった。
私もチラッと廊下を見たが人がいないので、背伸びをして首を上にあげた。
『痛っ！！！！』
首に痛みが走った。
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作者名：フラムボン
| 作成日時：2019年9月26日 15時
