2. 甘い時間に入り込む天然 ページ2
「 あ、ハンソル! こっちこっち。」
今日は、ハンソルと久しぶりにデート。
仕事柄なかなか会えないけれど、頻繁に連絡もとっているし寂しいというわけではないけれど、
やっぱり、彼の姿を見ると心が浮ついてしまう。
お待たせ、なんて少し走りながら私の元へと駆けて来る姿がとても愛おしい。
だって、ちょっと汗かいてるのなんか可愛いし、
「 なんでそんな、ニヤニヤしてんの。」
「 へ? いや、ニヤニヤなんてしてないよ。」
「 はい。これのどこがニヤニヤしてないわけ? 」
そう言って、携帯の内カメラを私に向けてくる。
そこには、ふにゃっと笑っただらしない顔の私がいてどうも恥ずかしくなる。
「 … すいません。その、久しぶりに会えたから嬉しくて、つい… 」
「 うん。俺も、嬉しいよ。ハグでもしとく? 」
深く被っていた帽子を片手に持ちながら、おいでと言わんばかりに両腕を大きく広げてくれる。
はあ、何それ。
可愛すぎるじゃんか。
ツンとデレの使い方が本当に上手いのが、なんとも憎たらしいけど、
これだから、彼が好きでたまらない。
「 … もったいないので、しときます。」
「 なに、それ。いつでもするけど。」
「 なんか今日、甘くないか? 」
「 別に、甘やかしたくなっただけ。俺も会いたかったし、」
そう言って、力強くぎゅっと抱きしめてくれる。
もう3週間は会えていなかったな、と彼の温もりに包まれながら考える。
会えなかった分をこの時間で埋めていく。
この時間が、彼といるこの時間が世界で一番好き。
「 そういえば、遅かったね。なんかあったかなってちょっと心配した。」
「 ごめん。ちょっと色々あって、」
いつもは約束時間の5分前には必ず来ているからこそ、余計に心配になった。
「 私は全然、大丈夫だけど… ハンソルは大丈夫? 」
「 うん。俺の方も解決したし、大丈夫だ 「 あ! やっと見つけた! 」
彼の言葉を遮るように明るく元気な声が少し遠くから聞こえてきて、思わずビクッとなった。
ん…… ? 今の声、どこかで聞いたことあるような…
「 … マジかよ、撒けたと思ったのに、」
「 ハンソル〜! もう、追いかけるの大変だったんだから。」
「 …… ジュンピだ。」
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作者名:パリコ | 作成日時:2023年9月6日 16時