レシピ通りに ページ5
誰もいない静まり返ったリビングで、レンジで温めるだけの簡単な昼食。
それすら面倒に思えるわたしの身体は、どうかしてしまったのだろうか？
五月病というには遅い週末の午後、憂鬱な気分は時間が経つにつれ、わたしの思考を止めようとしてくる。
気分を紛らわせるようにテレビを点けてみても、味気ない内容のものばかりで、何となく変えた番組も暗いニュースと、役に立ちそうもない料理番組だった。
「…に塩少々。中火で20分程煮込んで、煮立ってきたら味醂と醤油を大さじ…」
少々…
大さじ…
煮立ったら…？
中火……？
そんな事を言われても、料理なんか殆どした事がないわたしには何が何だかさっぱりだ。
そもそも作り方が分からないから、番組やら本やら見るわけで、中火で煮立ったらとか少々なんて、自分で分かるくらいなら料理本も番組もいらないでしょ…。
散々『不器用だなぁ』って苦笑いされた卵焼きもお味噌汁も、多少は形にはなるようにはなったけど、人前に出せるもんじゃない。
タカちゃんみたいに上手く作れるようになるまで、一体どのくらいかかるかな？
卵がいくつあってもきっと足りないくらいだ。
『Aは作るより食う方が似合ってんのな』
並べられたお皿を前にそう言って笑うタカちゃんと、それを聞いて同じように笑うルナとマナ。
聞こえないフリをして膨れっ面でせっせと箸を運ぶわたし。
最後にそんな風に一緒にご飯食べたのっていつだっけ？
つい最近の事のはずなのに、何年も前の事のように思えてきて、つい目の前に並んだお皿を眺めてしまう。
そんなムズムズとする気持ちを遮るように、テレビは画面が切り替わり、お昼のニュースを告げる。
時刻は12時。
アナウンサーは真っ直ぐとわたしの顔を見つめるように、淡々とニュースを読み上げる。
その無機質な表情は、鏡に映るわたしの顔のようにも見えた。
『昼過ぎに迎えに行くから用意しといて』
近づく約束の時間に間に合うよう、空になった食器をシンクに置いて、窓ガラス越しに少し崩れた前髪を直しはじめた頃、ポケットの中で携帯の着信音が鳴った。
到着を告げるメッセージに簡単な返信をすると、重く気だるい身体にスイッチを入れるように、1度大きく深呼吸してみる。
玄関に揃えられた傘を広げると、朝よりも少し強くなった雨の中、1歩足を踏み出した。
スイッチは入った。
さぁ、お別れをしてこよう＿＿。
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ミリカ(プロフ) - チョコプリンさん» わー😭ありがとうございます！書いててよかった🥺ちゃんと読んでくれてる方がいるんだなーって思うと頑張れそうです！感謝⸜♡⸝ (2022年1月23日 18時) (
レス) @page10 id: e46d7f06a3 (このIDを非表示/違反報告)
チョコプリン(プロフ) - 初コメ失礼します💦ミリカさんの東リベ作品、キャラのすれ違いや焦ったさがとても繊細に描かれててめちゃくちゃ癖になります。控えめに言って大好きです👏これからも陰ながら更新応援しております🥰📣 (2022年1月23日 18時) (レス) @page10 id: e53e09d499 (このIDを非表示/違反報告)
ミリカ(プロフ) - なぎささん» ありがとうございます⸜♡⸝お休みの日はできるだけ更新頑張ります！ (2022年1月23日 11時) (レス) id: e46d7f06a3 (このIDを非表示/違反報告)
なぎさ(プロフ) - 更新が早くてすごく嬉しいです！無理せず頑張って作って下さいね❀これからも更新楽しみにしています☻ (2022年1月23日 0時) (レス) id: a0b25f4947 (このIDを非表示/違反報告)
ミリカ(プロフ) - mikuさん» ありがとうございます⸜♡⸝三ツ谷難しくて書いて消しての繰り返しです🙄最後までお付き合い頂けると嬉しいです！ (2022年1月22日 16時) (レス) id: e46d7f06a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミリカ | 作成日時：2022年1月20日 22時
