スイッチオン ページ27
「ごめん…先帰る！また明日ね」
まだ何か言いたげな2人を残して下駄箱の靴に手をかける。
窓から見えたまだ蕾にもならない桜の木の下まで歩いた時、頬を伝わる涙が足元で滲んだ。
止まっちゃダメだって思っていても次々と涙が零れて、霞んだ目が行く手を塞ぐ。
「明日なんか来なきゃいいのに…」
ぐすっと鼻を啜りながらそう願ってみても、夜が明ければまた朝が来る事くらい分かってる。
いつまで引きずってんの？
こっちが聞きたいくらいだよ！知らないよ！
周りをを歩く人に聞こえないよう、そう頭の中でブツクサと呟いた。
これ以上うまくいく事はない。
どうせダメなら気持ちを伝えてスッキリしよう…。
元々恋愛感情なんてなかったんだ。
きっと時間が経てばまた友達みたいに戻れるだろう。
そう思ってた時、後ろで聞こえていた足音はピタッと止まった。
『お前さぁ…何で逃げ足だけはそんな早いわけ？』
そこにいるはずのない人はそう言って、わたしのすぐ後ろで立ち止まる。
「タカちゃん？いたの…？」
振り向かなくったって分かる。
何年もずっと隣で聞いてきた声だから。
どんな顔をしてるかだって想像できる。
何年もずっと隣で見てきた顔だから＿＿。
『いたの？じゃねぇよ…帰るんだろ？たまにはどっか寄ってくか？』
そう言うと子供をあやすような手つきで、わたしの髪をくしゃっと撫でた。
そのまま何も言わずに歩き出すタカちゃんの後を、わたしは鼻を啜りながら付いていく。
オレンジにも桜色にも見える夕暮れの空と、2つの並んだ伸びた影。
目の前で誘うように揺れる大きな手は、今なら手を伸ばせば届くだろう。
歩幅を合わせるようにゆっくりと歩く背中を追い越さないように、ヒラヒラとわたしを誘う手のひらをじっと眺めていた。
＿＿今だ…＿＿
前を歩くタカちゃんの指先をぎゅっと握ると、少しだけビクッとした気がした。
ドキドキと指先の熱が伝わらないようにぎゅっと力を込めてみると、『A、それはちょっと痛い』って笑った。
声が聞こえた途端急に恥ずかしくなって、「あ！ごめん」と離した手は、まだじんわりと温かく熱を持っている。
離れた指先は、今度は絡まりあって更に熱っぽくじとっと汗ばむけど、優しく指を絡ませるタカちゃんの手も同じようにポカポカ暖かくって、ドキドキが止まらない。
『ん？手ぇ繋ぐんだろ？』
少し大人っぽく聞こえたその声が、わたしのスイッチを入れたんだ。
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ミリカ(プロフ) - チョコプリンさん» わー😭ありがとうございます！書いててよかった🥺ちゃんと読んでくれてる方がいるんだなーって思うと頑張れそうです！感謝⸜♡⸝ (2022年1月23日 18時) (
レス) @page10 id: e46d7f06a3 (このIDを非表示/違反報告)
チョコプリン(プロフ) - 初コメ失礼します💦ミリカさんの東リベ作品、キャラのすれ違いや焦ったさがとても繊細に描かれててめちゃくちゃ癖になります。控えめに言って大好きです👏これからも陰ながら更新応援しております🥰📣 (2022年1月23日 18時) (レス) @page10 id: e53e09d499 (このIDを非表示/違反報告)
ミリカ(プロフ) - なぎささん» ありがとうございます⸜♡⸝お休みの日はできるだけ更新頑張ります！ (2022年1月23日 11時) (レス) id: e46d7f06a3 (このIDを非表示/違反報告)
なぎさ(プロフ) - 更新が早くてすごく嬉しいです！無理せず頑張って作って下さいね❀これからも更新楽しみにしています☻ (2022年1月23日 0時) (レス) id: a0b25f4947 (このIDを非表示/違反報告)
ミリカ(プロフ) - mikuさん» ありがとうございます⸜♡⸝三ツ谷難しくて書いて消しての繰り返しです🙄最後までお付き合い頂けると嬉しいです！ (2022年1月22日 16時) (レス) id: e46d7f06a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミリカ | 作成日時：2022年1月20日 22時
