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たけみちゃん? ページ3

日曜日_____。




待ち合わせはお昼。
そろそろ行かないと間に合わないな
って思ったから、急いで支度をして階段を降りる。


お財布と携帯をポケットに入れて
自転車の鍵のロックをカチッと外すと
向かいの公園でセミが煩く鳴き出す。



暑い…………。
熱中症にならないように。
と、途中の自動販売機でお茶を買う。
ガラン、と転がって落ちてきたペットボトルは
ひんやりと冷たくて気持ちがいい。
20分程自転車で走って
カラカラに乾いたわたしの喉を潤す。




なんとかギリギリ、というところで
待ち合わせのお昼には間に合った。

『こっちだよーーーー!!』
って向かいから手を振ってくれる2人に

「お待たせーー!!」
と手を振り返す。



到着すると
何歌うー?
先に何か食べようよ!
お腹すいたねー。
なんて言いながら、受付を済ませて部屋へ移動する。



朝ゆっくりしすぎちゃって
ほとんど何も食べてなかったから
お腹がグーっと鳴ってしまう。
やっぱり先に食べてもいい?
と、メニュー表をどれにしようかな?
なんて必死に覗き込んでいると
部屋の外で同年代くらいだろうか?
男の子が何人か話している声が聞こえる。



中学生くらいかな?
「ケンチン、俺腹減ったー!」
『飯食ったらすぐ寝るだろマイキーは…』
なんて声が聞こえてくる。
しょーがねーじゃん眠くなるんだからー!
なんて、子供みたいだなぁ…
もしかして年下かもなぁ…
って考えてたら



__なぁ?タケミっち?___



と、何度も千冬の口から出てきた事のある
たけみちゃんの名前が聞こえた。


『たけみちゃん?』


人違いだろうか?
いや、でもこの世代で
たけみちゃんという名前は珍しい。
この生活圏内で数人くらいしかいないはず…。


はっ、と後ろを振り返った時には
その男の子達はもうどこか違う部屋に入っていて
たけみちゃんらしき人の影すら見えなかった。



たぶんさっき歩きながら話してた
男の子に囲まれて来たのであろう彼女の事を
「たけみちゃん昨日男の子とカラオケにいたよ」
なんて千冬に言っていいのか悪いのか…。


そんな事を考えた。
できればわたしの言葉で千冬を傷つけてしまう
そんな事はしたくない。





どうしよう_____。



ただの仲のいい友達なのかもしれない。
わたしと千冬みたいに。



内緒にしておこう。
わたしは何も聞かなかった。


そう決めて、今日は思いっきり楽しむことにした。

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作者名:ミリカ | 作成日時:2021年10月29日 19時

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