重なる影 ページ19
何度も繰り返す春の季節は
まだずっと先だと思っていた。
ほんの数ヶ月前までは。
いよいよ桜の蕾もだいぶ膨らみ
残すところあと少しで開花になるだろう。
わたしはこのまま卒業式を迎え
何もなかったかのように春が訪れる。
それでいいじゃないか。
昨日見た夢だって
朝には忘れているくらいだ。
きっとこの想いも
新しい出会いと共に忘れていく。
時間が解決してくれるはず。
ただ最後にあいつのお手伝いとやらを片付けよう。
何があっても
どんな事が起こっても
ただ平然とこなして笑ってやろう。
わたしの最初で最後の仕返しだ。
じゃあね、とマイキーに別れを告げ
後ろを振り返ると
入口のドアの前でこちらをじっと見つめる女の子。
睨みつけるような
見下されているような目でわたしを見る。
ストーカーかよ…
気持ち悪。
そんな顔しなくても取りゃしねーよ
とも言えなくて
通りすがりに「バイバーイ」と言ってやった。
感じが悪かろうが意地が悪かろうが
もうどうでもいい。
どうとでも思ってくれればいい。
その後2人がどんな会話をしたのかなんて
2人がどうなったかなんて知らない。
バタン、とドアは重たい音を響かせる。
屋上で重なる2つの影は
数秒間で絡まる糸をほぐすように離れる。
「大丈夫だよ」
と伸びる白く細い指は
吸い付くように頬に触れる。
彼の目に自分が映ってない事は分かっている。
そんな事よりも
自分じゃない誰かを見ている彼を
どうしても手に入れたくて
そっと手を伸ばす。
好きだよ、と言いながら。
カチン…
石ころを蹴りながら
無くさないで家まで帰れたら合格。
そんな事を思いながら
足でコロコロと転がしていると
後ろから友達が声をかけてきた。
「Aー!途中まで一緒に帰ろー!」
と、大きな声で叫ぶから
いいよー!と大きな声で返した。
なんだ!元気じゃん!
と笑いかけてくる友達。
そんなに元気なさそうに見えた?
と聞いてみると
この世の終わりのメスゴリラみたいな顔してたよ
と笑われる。
その言い方がおかしくて
わたしもつられて笑ってしまう。
はっと気づくと
足元には沢山の石が転がっていて
先程まで転がしていた石は
どれだか分からなくなっていた。
65人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミリカ(プロフ) - ゴリラの娘ですさん» うわー🥺嬉しいです!ありがとうございます♡もうすぐ終わる予定なので、楽しみにお待ちくだされ😭🙏 (2021年10月24日 22時) (レス) id: 74af4c8036 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラの娘です - ゑ、めっちゃ好きです。更新頑張ってください(*- -)(*_ _)ペコリ。 (2021年10月24日 21時) (レス) @page16 id: dfc5bee49e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ミリカ | 作成日時:2021年10月22日 16時