視線の先は ページ17
俺のチョコ?
そんなものあるはずがない。
予想外の展開に
やっぱり本命チョコ買っとくんだったな…
と少し後悔する。
いや待てよ、買ったところで渡せるか?
はい本命です、受け取って下さい
なんて言えるはずもない。
想定外だったから
義理の義理
今年もひとつもチョコを貰えず
しょんぼりしながら帰るであろう村岡くんに
せめてもの情けであげようかな?
と思ってた200円くらいのチョコしか残っていない。
急いでメモ帳をペリっと剥がし
【売り切れた】
とササッと書いて、後ろの席の子に
マイキーに渡して、とこっそり伝える。
その後何度か消しゴムやら紙やら
わざとらしく咳払いする声が飛んできた。
先生の「佐野!」という声も飛ぶ。
ようやく授業が終わり
今日こそ安息の地へ
と屋上へ向かおうとすると
「おい」
と声をかけてくる。
久しぶりに近くで声を聞くと
やっぱりドキッとしてしまう。
売り切れってなんだよ?
と後ろから声をかけられる。
売り切れどころか買ってもないんだよね
と思いながら
半ばヤケクソ気味で
『何?チョコ欲しかった?』
と聞いてみると
スマイリーとアングリーにあげて
何で俺のはねぇんだよ…
と不貞腐れる。
どういう風の吹き回しだろう?
本命チョコだけじゃ満足いかないのか
それとも数で勝負だと思ってるんだろうか。
先程から刺さるような視線を感じ
違和感のある方を見ると
例の女の子が心配そうな顔をして見ている。
めんどくさい事はごめんだ。
マイキーの背中をポンっと押して
貰っておいでよ、と言い
わたしは目を逸らす。
何も悪い事はしていないのに
なんだかとても嫌な気持ちになる。
不機嫌そうに歩く彼と
少し照れた様子で駆け寄る彼女
アンバランスな2人の視線は
同じ方向へ向く。
今までだってそうだった。
大好きだけど、それだけじゃダメなんだ。
何もできずにただ毎日は過ぎていく。
絶対口にする事はない
【好き】というたった2文字が
わたしの頭の中を覆い尽くす。
マイキーがあの子を選ぶなら
せめてここの特等席だけは譲ってほしい。
そう思いながら階段を駆け上り
重く冷たいドアを開いた。
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ミリカ(プロフ) - ゴリラの娘ですさん» うわー🥺嬉しいです!ありがとうございます♡もうすぐ終わる予定なので、楽しみにお待ちくだされ😭🙏 (2021年10月24日 22時) (レス) id: 74af4c8036 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラの娘です - ゑ、めっちゃ好きです。更新頑張ってください(*- -)(*_ _)ペコリ。 (2021年10月24日 21時) (レス) @page16 id: dfc5bee49e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミリカ | 作成日時:2021年10月22日 16時