何度だって 【佐野万次郎】

友達の頼みは断れない ページ7

すっかり気持ちも落ち着いたところで
ドラケンはそろそろ帰るか、と言う。
わたしと万次郎はベンチから立ち上がり
ドラケンは裾に着いた砂をサッサと払ってから
座っていた自動販売機の横を後にする。




いつも通り3人であーだこーだ騒ぎながら歩くと
家に着く頃にはさっきの嫌な事は忘れていて
またねと声をかけてから家へ入る。


癖でなんとなくつけたテレビは
どこを付けてもクリスマス特番。

3日後はもうクリスマスか。
来年こそ彼氏と過ごしてやるんだ。
絶対に。


ベッドの上でゴロゴロしながら
クリスマスのモテコーデ特集
とか
都内のデートスポットランキングなど
今年も縁のない番組をぼけーっと見てると
昨日あまり眠れてなかったのと
朝からあんな事があって疲れたのとで
いつの間にか眠ってしまっていた。





夕方窓から射し込む光が眩しくて
わたしは目を覚ます。
テレビは相変わらずひとりで喋っていて
さっきまで見ていたはずのデート特集は終わっていた。


今何時だろう？
枕元にあるはずの携帯を探し出し
時刻を確認する。



16時20分


特に予定もないし
友達にでも電話するかなぁ…
と思い、履歴を開く。


聞いてよー！と始まり
美味しいカフェの話やら
新しい映画の話やら
誰と誰が付き合ってるらしいよ
なんていつもの話題で盛り上がる。

散々話しきったかなと言う頃
そういえばさ、クリスマスって空いてる？
との事。


クリスマスと誕生日どっちが好きか聞かれけど
特別万次郎と約束した訳じゃないから
暇だよーと伝えると
好きな人から遊びに誘われてるけど
緊張して2人はちょっと無理だから
Wデートどうかな？
男の子もう一人いるからお願い！
という事らしい。

せっかくのクリスマスなんだから2人で行きなよ
と説得してみたけど
本当に無理だからお願い
と。


日頃色々相談に乗ってもらったり
帰りたくない時は泊めてもらったりと
色々お世話になってる子だから
いっちょ協力してやるか！
なんて思って
いいよ、と返す。


じゃあ当日また電話するね
と言って電話を切った。

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