何度だって 【佐野万次郎】

冬の大三角形 ページ2

いつもそうだ。
彼氏ができてもうまくいくのは2、3ヶ月程。
毎日幸せだなぁ…なんて思い始めるとコレだ。


飽きられやすい体質なのだろうか？
それとも気付いてないだけで
何か失礼な事をしてるんだろうか？
好きだって言ってきたのはそっちだろうが…。



彼と別れてから数日経つけど
やっぱり何の連絡もない。
もしかして電話でもかかってくるかな
と、何日も待ってみたが
着信は友達や万次郎、たまにある間違い電話のみ。


どこぞの女とよろしくやってるんだろう。
いい加減アドレスも電話番後も消して
忘れてやろう。
撮った写真も全部捨ててやろう。



「ばーか」
といいながら、削除、削除。
メールも全部消してやる。
なんて読んでは消してを繰り返していると
万次郎から着信。


Aどこいんの？
と、暇だから散歩でもしようと。

時刻は21時50分。

12月のこのクソ寒い中散歩なんて正気の沙汰ではい。

「寒いからやだ」

と言って電話を切るが、再度電話が鳴る。

『いいから早く出てこいよ』


ん？出てこいよ？
と思って、カーテンを開け部屋の窓から外を覗くと
おーいと下から手を振る万次郎。


家まで来られちゃ仕方がない。
すっぴんだし部屋着だったから
さすがに万次郎相手でもこれはないな
と思い、急いで支度をする。


『おっそ』
と言いながらヘルメットをわたしの頭に乗せ
後ろ乗って！と促す。


こんな夜に女をケツにのせてどこへ行くつもりだい？
と思いながら
少しだけ万次郎の後ろでぼーっとしてると
海沿いの臨海公園につく。



さみーなーと言いながら先を歩く万次郎。
そりゃ寒いでしょ。
周りに建物はないし海はあるし。
この寒い中2人で何をしろと。


『ここでいっか』
と言って座る万次郎。
その隣にはわたし。

どういう訳か、万次郎はぼーっと空を見上げている。
何か見えるの？
と聞いても
ちょっと待ってと言って『うーん…』とか唸ってる。


ああそうだ。
きっとテレビでUFO特番でも見たんだ。
だから探しにきたんだこいつは。
なんてニヤニヤしてると
万次郎は突然



『なぁA知ってる？あれ冬の大三角形って言うんだって』
と言った。

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