STARLIGHT ２ (ページ21)

今日:16 hit、昨日:17 hit、合計:743,624 hit

夢ごこち。。ページ21

.

やってしまった………

大事なライブの準備期間中だというのに、私は体調管理を怠ってしまった。

『ヘックシュン……』

「夏風邪？こんな時に…」

出来上がったばかりの衣装に名前を付けていくミシン越し、彩さんが鋭い目つきで見ている。

『熱はないから大丈夫だよ。昨日病院行ってきたし……でも念のため半径2メートル以内に近付かないでね』

「うん、そうするよ。あっ、ねぇこれさー」

『あぁー！今言ったばっかだよ、近付かないでって』

彩さんの後ろに置かれた衣装を取りに歩く私の腕を掴んですぐにパッと離して万歳をしている

「もう面倒くさいし、仕事やりずらい。マスクしてれば平気でしょ」

彩さんもそうだけど、スタッフやメンバーに移してしまったら私はこの会社に居られない位の罪悪感に襲われるんだろう。

7月だというのに体は寒気に包まれ、１人長袖を着ている私はすれ違うスタッフと距離をとって歩く

.

.

「A、今日行けそう？」

『熱はないから行ける。私も食べたい…すき焼き』

彩さんと入れ替わりに衣装室に入って来た美紀さんもしっかりマスクをしている

「Aだけテーブル別にしてもらおっか。申し訳ないでしょ？みんなに」

顔は見えないけど、背中で笑ってるのが分かるよ

凄い揺れてるからね、美紀さん。

『………やっぱり辞めとこうかな、行くの』

これ誰の衣装だろう……糸ほつれてる…

伸びない程度に摘んで引っ張ってみた。

「……いじけてんの？冗談だから、一緒にすき焼き食べよ」

私の両肩に手を乗せて、顔を覗き込みながら笑う美紀さん

『私が居ないと寂しいもんね、美紀さん』

ニッと笑ってみせたけど、マスクしてるから見えないか。

「それは私もだけど、あの人じゃなーい？」

きっと美紀さんもニッと笑ってるはずだけど、やっぱりマスクで見えない

「………隆二が寂しがっちゃうよ～」

そうだといいのにね………

私が居なくて寂しいとか、会いたいとか思ってもらえる存在になれたらいいのに。

.

ライブ衣装が完成したこの日、メンバーのはからいで私達3人は食事に誘ってもらった。

店でメンバーを待つため私達は仕事を切り上げタクシーに乗り込んだ