☆〜side 広臣〜 ページ34
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「は?………マジかよ」
トイレから急いで戻ったら木製のベンチに座ってたはずのAは居なかった。
店内に戻って見渡しても見当たらない。
慌ててスマホを取り出しAの番号を探すも俺は落胆するだけ
「番号知らねぇじゃん……」
家に帰れば居るから聞く必要ないかと思っていたAの電話番号、隆二の彼女だしとアホな気を遣った自分を恨むしかない。
店を飛び出しとりあえず家の方に向かう。
「A……」
人混みの中、一人一人の顔を覗きながら探し回った。
勝手に店を出た事への怒りから、次第に見つからない事への焦りと不安に変わって変な汗まで出てくる。
一度立ち止まってもう一回後ろを振り返り目を凝らしてみる………いねぇし。
膝に手をついて呼吸を整えて歩き出そうとした時、目の前にあるコンビニから笑い声が聞こえ目を向けた。
男の集団の後ろからフラつく足で出てきた女の子
「A……」
ほっとしたのも束の間、出口でつまずいたAは集団の一人に支えられ「大丈夫?」と声を掛けられ驚いている。
その瞬間、俺は走り出して叫ぶように名前を呼んだ。
「Aーー!」
俺の声に気付いて男から離れ「臣ー」と笑顔で駆け寄ってくるA。
「動くなって言っただろ、バカヤロ」
「お水飲みたくて……臣の分も買ったの…」
Aの手に握られたビニールを覗くと2本のペットボトルが入っていた。
「んなの後でいいだろ。心配させんな」
「ごめんなさい」
Aの顔から笑顔が消えて涙目になった。
「あー良かった、見つけられて」
安心感から思わずAを抱きしめた……キツく。
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作者名:taka | 作成日時:2016年1月21日 15時