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重い物は下に潰れて困る物はその上に乗せて、野菜は別の袋に詰める。
適当に入れる隆二にいつもムッとするこの作業は一人でやればスムーズに終わる。
こぼれ落ちないようにビニールの口を止める私は手を伸ばしてセロテープを切った。
「あら奥さん、今日は特売の卵買えたのかしら?」
ずいぶんオカマみたいな声をした人だなー、これは見たら失礼なやつだと判断してそそくさとビニールを持ち上げた。
「おい、シカトしてんなよ」
低っ、めっちゃ低い声!
「オカマかと思った。臣だったとは…」
立ち去ろうとふと目に入った靴で臣だと分かった。
「何しにきたの?」
「ビールなかったっしょ?」
「えー、あと2本あったよ」
「足んねーよ」
自分で買ったビールを袋に詰めて私の荷物も何も言わずに持ち上げ「帰ろ」と歩き出した。
「重くない?私まだ持てるよ」
そう言いながら臣が持つ袋に手を掛けると私の手は跳ね除けられてしまった。
「俺、男だよ?こんくらい持てるっつーの」
「あそっか、オカマも一応男だもんねー」
隣を歩く臣を見上げると冷めた目で見下ろされてたけどそれが今は心地いい。
何が冗談で何が本気なのか、臣のことを分かってきた自分に小さな優越感を感じながら
少しだけ体を臣に近付けた暑い夜の帰り道ーー。
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作者名:taka | 作成日時:2016年1月21日 15時