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ドアが閉まるのを確認して鍵を締め、またキッチンに戻った。
マグカップを片手にもう一人分のお弁当を包む私の隣に立った臣。
私の手元をジッと見ている。
｢玉子焼き、焦げてんじゃん｣
｢心がこもり過ぎたかなー｣
｢えっ、俺のだけ？｣
｢隆二のもちゃんと焦げてるから安心しなさい｣
｢文句言われねーの？隆二に｣
｢言わないよー、優しいから……誰かさんと違って｣
｢お前、俺の優しさ分かってないねー｣
｢どこに優しさがあったんですかー？｣
まだ真新しいスポンジに水をたっぷり含ませて、柔らかくなるようにムニムニと揉んでいる臣。
自分の身長より遥かに高い棚を開けて、
炊きすぎた白米を保存する為のタッパーを探しながら臣の話に耳を傾ける。
｢弁当の中身見て焦げた玉子焼きが入ってるより、綺麗に焼けた玉子焼きが入ってる方がさー｣
｢うん………｣
食器を洗い終えた臣は濡れた手をタオルで拭いたあと、私の体に一歩だけ近付いて棚に腕を伸ばした。
｢いい女だろって自慢したくなるけどね、俺は｣
私の指先に当たるタッパーを取り出して
｢はいよ、おちびちゃん｣
そう言ってタッパーをシンクに置いて私の髪をグシャッと撫でた。
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作者名：taka
| 作成日時：2016年1月21日 15時
