五十六個目 ページ8
「初めてこういうの着たけど、なかなか似合うね俺」
全身鏡の前にレギュラーさんが勢ぞろい。あれからしばらくたって部員さんがちらほら集まりだし、着替える人も増えて行った。
言わずもがな部員さんしか出演しないこのシンデレラでは女装する人が出るのは当然で。
抵抗するひともしばしば、この部長様のようにまんざらでもないような顔をしている人も意外にいるのである。いや、死ぬほど似合ってるけど。
ちょいちょい手伝わされたりセットを見に行ったりで、やはり私は早く来て正解だったと思う。丸井の顔にファンデーションを塗りながら、そんなことを考えた。
着々と時間が近づいてくるのだが、余裕を見せる彼らはなんだかやはり貫禄がある。未だに和気あいあいした雰囲気が流れる楽屋に真田の声が響いた。
「む！？赤也がおらんぞ！！？」
「赤也ぁ？…あ、ホントだ」
少しざわめいた室内に、ドアを勢い良く開ける音が響く。
「あのっ！！すいません、赤也が！！」
息を切らして入ってきたのは平部員の子だった。戸惑っている様子にこちらも戸惑ってしまう。柳が続きを促すと、これまた衝撃的なことを彼は口走った。
「赤也が、トイレに籠ってて！あの、シンデレラ、やりたくないとか言ってて」
ここにきてのトイレ立てこもり。最悪だ。真田は聞いた瞬間に憤慨。幸村は眉間を動かし、その他も動揺。まったく勘弁してくれと言ったような感じだ。
あわててレギュラーが駆け出したのはそのあとすぐで、衣装のまま出ていく彼らは実に滑稽だった。
そして私はというものの。後からかけて行ったはいいが、もちろん男子トイレになんて入ることはできず、途方に暮れるしかなかった。
廊下をとぼとぼと歩くと、後ろから肩をたたかれた。
「ちょっとすいません、テニス部のひとどこ行ったか聞いてもいーっすか！？」
話しかけてきたのはスポーツ刈りのイケメンの彼。隣には男の子もいるけど。どうやら他校の人のようだ。というより、なぜ私にピンポイントでテニス部の行方を聞いたのだろうこの人たちは。エスパーか。と視線をよこしているとあわてた彼は言った。
「俺らテニス部に招待されてて！あ、桃城っていうんすけど！
シンデレラの人っすよね！？見てた時マネージャーだって聞いたんで」
『ああ…そういうことですか…ええと今は…』
事の顛末を話すと彼らは盛大に笑い、場所を教えろと言った。
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暁菓(プロフ) - ノアさん» 有難うございます。なかなか更新できませんでしたが読んでくださる方がいると嬉しいです。頑張ります！ (2016年6月25日 21時) (
レス) id: afef531e42 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 指摘失礼します。八十七話で「饒舌」が「じょぜつ」になっていました。いつも続き楽しみにしています！更新頑張ってください！ (2016年6月25日 21時) (レス) id: 04e0a71a55 (このIDを非表示/違反報告)
暁菓(プロフ) - 輪廻さん» 閲覧ありがとうございます。励みになります！ (2015年12月5日 21時) (レス) id: efd9df2090 (このIDを非表示/違反報告)
輪廻 - 凄く面白いです、続きが早く読みたいです！更新頑張ってください！応援しています♪ (2015年12月4日 18時) (レス) id: 03478bf9f4 (このIDを非表示/違反報告)
綾乃 - 親のような生温かい目で見てしまいますよねｗｗｗｗｗｗ (2015年11月28日 21時) (レス) id: 24069469b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁菓 | 作成日時：2015年11月19日 18時
