【赤井秀一】翠緑の瞳と交差する時

case.6 ページ22

カタカタカタカタ-----

キーボードの音が反響する

オフィスにいるのは私1人

ここ最近担当した事件の調査資料を作成している

デスクワークは疲れるがこれも大切な仕事だから手は抜けない

オレゴン州で起きた銃撃事件の被害者をリストアップしていくと、夫婦で亡くなった人の名前を入力してふと手が止まる

データによるとまだ幼い息子が2人いるとか…

はぁ………

FBIなんだから被害者にいちいち同情してちゃやっていけない仕事だってことくらい分かってる

けど同時に捜査する身としてその気持ちを捨てちゃいけないとも思う

「残酷な世界だな…時代が進んで技術が進歩しても事件はちっともなくならない…」

後ろから突然話しかけてきた赤井さん

『びっくりした…いるなら早く言ってよ…』

「別に気配を消してるつもりはなかったんだが…

……お前が集中してから気づかなかったんだろ」

『……残された遺族の方…特に残された子供にはどうも過度に同情しちゃって…』

ふと赤井の脳裏に先日ジュリアから聞いた話が蘇る



「……この間……

クリスマスイヴにデートに誘ってしまって…すまなかった…」


『………

……秀一のことだから、やっぱり調べたんだね笑』

と悲しげな顔をしながら笑うA

『気にしなくていいよ…むしろ嬉しかった…

クリスマスとか嫌なイメージしかなかったから、秀一のおかげで良い思い出に上書きできた…』


「……これから付き合っていく身として…両親の件、詳しく知っておきたいんだが…嫌じゃなければ教えてくれないか？」

『…もちろん、いいよ

ついでに飲み物買いに行きたいから休憩スペース行ってもいい？』

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す