！おさななあまた！ (ページ10)

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『ぐちつぼー！どこ居んの！』

大きな声で幼馴染の名前を呼びながらもその音のなるところまで少しづつ足を進めるA。そしてその音がもうあと5歩のところまで近づいた。そして、その光景を見たAは震えるような声で幼馴染の名前を紡いだ。

『ぐち、つぼ…？』

Aの震えるような声で勢いよくこちらに視線を向けたぐちつぼは酷く残念そうに、それと同時にどろりとしたその瞳にAは吸い込まれた。はく、はく、と少しづつ呼吸がしにくくなる中どうして、と蚊の鳴き声のような小さな声で呟いた。

「あーあ、…バレちゃった」

『な、んで…だ、ってそのひと、わたしの、』

「うんそ。お前の好きな人」

Aが名前を呼ぶ前に間髪入れずに答えたぐちつぼ。そこに倒れていたのは今日話していたAの好きな人だった。その好きな人は頭から血を流して、四肢は曲げられていたりちぎれたりしていた。はっ、はっと初めて人の死体をまじかで見るからか汗がじわりと額から落ちていき、背筋は凍ったように動かなくなる。それと同時に吐き気をもようして視界が歪む。

「ぜんぶ、ぜーんぶ。お前のためだから、安心していいよ」

「Aが愛すのもAの視界に入るのもAが名前を呼ぶのもAが泣くのもAが考えるのも、全部全部全部全部全部、俺だけでいい。なァ、そうだよな。他の奴らなんて要らないよな。…安心していいよ、俺とAが幸せになるためなら俺は殺人鬼にだって、なんだってなってやる。だから、安心して眠っていいからな。」

Aは死神に憑かれていた。
ぐちつぼという名の死神に。

憑かれちゃった！