憑かれちゃった！【gt】 ページ8
ぐずぐずと泣きながらぐちつぼの肩を濡らしながら泣き喚くA。ぐちつぼは、少し嫌そうに顔を顰めながらもぽんぽんとAの背中をあやす様にゆっくりと叩く。
『うわああああんっ！また、また振られたああ！！』
ひぐ、ぐずと鼻を鳴らしながら泣き止む気配のないAにぐちつぼはため息をついた。その様子を呆れ顔で見ているのはげんぴょんだった。
「Aチャン、また泣いてんじゃん」
『うるさいっ、なんで、なんで私ばっかりこんな目に、…っ！』
「Aは死神かなんかに憑かれてんじゃねーのかって程には不幸だよなぁ」
と背中を軽く叩きながら、ぐちつぼは喉を鳴らして笑う。げんぴょんはその様子をはために見ながら飲み物を喉に通していた。
ぐちつぼとAは所謂幼馴染関係であった。そして、昔から何故かは分からないがAは大切な人を亡くしてしまったり、好きな人からフラれてしまったり、家族や親戚から嫌悪されたりとAはずっと不運で、不憫だった。そして、Aはぐちつぼ以外の人と親しくしてしまえばその親しい人を亡くしてしまうというなんとも不運な少女であった。
そんなAに付けられたあだ名は、死神に憑かれた少女と呼ばれた。そんな少女に自分から近づこうとする人間なんて少なからずとも高校生となり、自分で判断ができる年齢の人間は居なかった。
『もぅ、やだぁ……』
「だーかーら、俺以外と親しくすんなってんのに。それに、お前のせいで人死んでんのに」
『今回はぁ、死んでないもん……』
「ハイハイ。んで、その男どいつなのー？」
『せんぱい……3年のばれーぶ……』
舌足らずで、少し幼げな言葉を発しながらAはぐちつぼに縋るようにぎゃんぎゃん喚いていた。その様子を見てげんぴょんはあからさまに嫌そうな顔をし、頬が少し痙攣していたように見えた。
少し話は変わるが、Aはとにかく馬鹿でアホだった。それは成績などの問題じゃない。単純なアホなのである。所謂単細胞と言われる存在。そのため、何故自分の周りだけ死んでしまうのかというのも考えずにぐちつぼに愚痴っていた。どうして、ぐちつぼだけは生きているのだろうかという疑問を抱かないのだ。アホだから。
『わたし、こんなにがんばってるのに…』
「お前の魅力わかんねー男が悪いの、な？早く涙拭いてきな」
『うん……』
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