！おさななあまた！ (ページ40)

今日:25 hit、昨日:15 hit、合計:7,951 hit

・ページ40

アレから特に話す事もなく、下校をした私は急いで【習い事】の支度を開始した
私は帰宅部ではあるが、それは習い事をしているからである
習い事、と言っても昔からやっている【水泳】で泳ぐ事はこの上なく好きだった
げんぴょんと初めて会ったのも確か水泳のスイミングスクールだったか、昔を思い返し懐かしく思う
其処から仲良くなって、家がご近所さんだと分かってから親も仲が良いしご飯も一緒に行ったりする仲まで発展した家族ぐるみでの関わりを持つ
スイミングに行く用意を終えて外に出ると、丁度行く途中だったのかげんぴょんに鉢合わせた

『今日は来るんだ、スイミング』

「あー…まあ、別に泳ぐの嫌いじゃねえし。お前も行くんだろ?どうせなら一緒に行くぞ」

先週は休んでいたげんぴょんは、私が返事をする間もなく勝手に左手首を捕まえてスイミングの方へと進行を始める
掴まれた左手首を見て、げんぴょんも私も大きくなったなと物思いに耽っていた

年月、というものは案外早いものだ

でも、幼馴染という関係はズルズルと引き摺る訳にもいかない
何時迄も続く訳がないこの腐れ縁は、卒業と同時に捨てなければ。

★*★

スイミングに着いて着替えた私達は水泳の先生から教わった事をやりながら泳いでいた
プールの水はひんやりと冷たく、同時に身体から汚いモノを洗い流してくれるようなそんな気もする

だから私は水が好きだ、歩く事よりも泳ぐ事が好きだ
クロールをしながらタイムを測り、前測った記録よりも早くなっていれば先生も喜んでくれるし私達よりも小さい子達が凄いって言ってくれて気分は悪くない
チヤホヤされるのもまあ…良いななんて思えたキッカケはスイミングだった

そんな私の隣のレーンで泳ぐげんぴょんは、周りの視線を一気にかっさらっていく
チヤホヤされていた気分だって一気にどん底だ
皆、綺麗に泳ぐげんぴょんの姿を見て見惚れている
それはそうだ＿彼は泳ぐフォームから全てが完璧過ぎて私なんて到底追いつく事も出来ない

時折呼吸をする為に見える水面に映ったげんぴょんの横顔が、悔しくも綺麗だと思っている事は内緒にしておく。