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「テメェ……何してくれんだよ」
「そりゃこっちのセリフや。俺らの大事なAに何しようとしてんねん」
トントンが続けて武宮の腹に蹴りを入れる。急所に入ったそれは、武宮の臓器に響き、武宮は嘔吐する。構わずゾムが武宮の顔面を殴りつけ、馬乗りになって何度も何度も頬を殴った。噛み締めた歯の間からは憤怒の息が漏れ、もしこの国に法律がなければ、ゾムは彼を殺していただろう。
「ゾム。それくらいにしとけ。怪しまれる。武宮先輩。さっきの会話、全部録音してました。いつもみたいに、ってことは他の人はもう被害に遭ってるってことですよね？これ、警察に持っていったらアンタ立派な犯罪者っすよ」
冷めた目で見下ろすトントン。それは人間を見る目では無い。汚物を見るような、軽蔑した目。トントンの言葉に武宮は飛び起き、足に縋り付く。
「や、やめろ！！」
トントンは武宮の髪を掴んで離させると、彼の顔を踏みつける。
「じゃあ、今すぐAに別れたいって連絡しろ」
ゾムが般若のような顔で拳を握って振り上げながら脅す。震える手でAに電話をかける武宮。ゾムとトントンの鋭い殺気に、今にも失禁しそうだ。
『あ、あの、Aちゃん？ごめんやっぱり別れよう。ノリで付き合っちゃった。好きじゃない。ごめん！！』
早口で言うと、通話を切る。これでいいだろ、とゾム達を見るが、彼らの表情は変わらない。最後にもう一発ゾムが武宮の顔を殴り、トントンが彼の股間を蹴り上げた。
「自慢の顔が大変なことなってるで」
「それと制御の効かへん俗物も」
じんわりと股間を濡らして倒れ込む武宮に、二人は冷たく言い放つ。
「今後、二度とAに関わんな。アイツに何かしてみろ、こんな優しい終わらせ方、絶対せんから」
「Aに手ぇ出したら、本気で殺しに行くからな。俺は法律なんかどうでもええ。トントンと、Aが俺の全てやから」
そう言うと二人は教室を出た。この録音は、速やかに警察に渡し、後のことは全て任せた。二人は真っ先にAの家に向かい、彼女を励ます計画を立て始める。
「飯やな」
「飯かぁ」
「ピザか？」
「ピザはええやろ」
「……大事になる前で、良かった」
「ああ。なぁ、ゾム。お前には言うとこうと思うんやけど、もしもAに何かあった後やったら、俺はアイツを殺しとった」
「……もしそうやとしても、俺は咎められへんわ。さっきは止めてくれてありがとうな」
「ん。気にすんな」
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