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真っ赤な顔で怒鳴ったトントンは、二人の首根っこを掴んで家から追い出した。それにも関わらず、Aとゾムの顔は笑ったままだ。
「っしし、珍しいねぇ、トントンのあの顔は」
「ああ。俺も、頑張るか。じゃあな」
「うん、またね」
手を振り、お互いに背を向けるとトントンの右隣、左隣にそれぞれ帰宅した。
翌朝、いつものように三人揃って駅へ向かう途中、Aがポツリと呟いた。
「私、今日武宮先輩に告白する！」
「……やめとけ」
「A、絶対アカンて」
「フラれたっていい！」
「そう、か」
「フラれたらまたうち来ればええ。菓子でも用意して待っとくで」
「うん！」
トントンは優しく笑うと、Aの頭を数回撫でた。ゾムはまだ納得いかない様子で、トントンにあることを耳打ちした。トントンも了承し、二人の間である約束ができた。そして、約束の放課後。Aは空き教室に武宮を呼び出した。
「お待たせ、Aちゃん」
「た、武宮先輩！」
現れた彼は若干気怠そうにして、教室に入ってきた。Aは緊張しながらも、武宮の前まで行き、口を開く。
「武宮先輩！好きです！付き合ってください！」
「……うん、いいよ付き合おっか」
「本当ですか！？嬉しいです！ありがとうございます！」
「今日は用事があるからまた後で。あと、付き合うことは内緒ね」
「はい！」
Aを教室に残して、武宮は去った。その後、クツクツと邪悪な笑みを零しながら廊下を歩く。彼が向かった先は、自分の教室。放課後だからかガラリとしており、教卓の上に座った武宮は友人に電話をする。
『ちょ、聞いてくんね？また女子に告白された』
『またかよお前……どうせ付き合ったんだろ？どんな子？』
『っへ、妬むなよ。後輩ちゃんから』
『かぁ〜羨ましいな。お前何股してんだよ』
『7股じゃね？またいつもみたいによ、適当に遊んで捨てて、ネットに動画だけ流して金儲けしようぜ。協力しろよ？』
『いいけど、俺にも貸せよ？溜まってんだ』
『ああ。一時間1000円な』
『金とんのかよ。まぁ、いいや。じゃあな』
武宮は生粋の屑であった。こうして女を騙し、小遣い稼ぎの道具にしていた。ニヤリと下衆の笑みを浮かべた武宮。
「今回もらくしょ……ぅぐっ」
突然、武宮の体が宙を舞った。理解出来ずに頬を押さえて倒れ込む武宮。そこに立っていたのはトントンとゾム。彼らは瞳孔を大きく開いて武宮を睨んでいる。かなり、ご立腹のようだ。
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