！おさななあまた！ (ページ12)

今日:4 hit、昨日:47 hit、合計:7,977 hit

幼馴染以上恋人未満/ykpn ページ12

・

『どうしよう、助けてやきぱん！』
「よ、よく分かんないけどAがピンチなら助けるよ！」
『ありがとう！！』

ぽわぽわとした雰囲気である私の幼馴染のやきぱん。頼りないと言われるかもしれないが、私にとっては唯一無二の幼馴染であり、男の子で話せる相手である。あ、やきぱんの友人や先輩とも何とか話せてるけど……うん、確かに頼りないかもしれないけれど、コミュ障の私にとってはやきぱんが一番昔から仲良いと思っている。

『どうしようやきぱん……』
「なになに？僕の肩に顔を埋めて。まさか眠いの？」
『うう、違う。また告白されたの、やきぱん代わりに断って来てよ……』
「ええ、またぁ？」

高校生にもなると告白というものはよくされる様になって、男性恐怖症である私は凄く困るのである。やきぱんに前は頼っていたしやきぱんには、「僕と付き合うのは駄目なの？」と首を傾げられたのだが、流石にやきぱんの恋愛関係に私が首を突っ込むのは駄目だと思い辞めた。

そもそも天然な所もあるやきぱんは、「付き合う？それで僕何したら良いの？」といったような反応をしてくるので、恋愛経験が無いに近い。私に提案して来た付き合うという四文字だって、私の認識とやきぱんの認識が違ったら困る。

男性恐怖症の理由は、小学生の頃に軽い嫌がらせを受けていた事が原因。小学生男子は気に入った女の子に嫌がらせする所がある。大人になった人間ならば可愛いと思うだろうが、その時の私は怖いという感情しか出なかった。隣の家のやきぱんに泣きついて、何故かあたふたしたやきぱんの代わりにたらこくんというやきぱんくんの友達が私に付き纏う男の子を追い払ってくれた。

「これからは焼きパンがAの側に居てあげるんだよ」とたらこくんが言った通りに四六時中べったりな事があった。小中はずっと一緒だったのに高校では常時一緒に居る事は少ないし、やきぱんと一緒に居ても告白されるという事が多く、凄く困っているのである。

「Aに告白しても僕が出て来て振るだけなのにね」
『ワンチャンやきぱん狙いの人も居るのでは？』
「ノーチャンだよそんなの。今日ヤケだね。何かあった？」
『……数学の課題で悩んでます。やきぱん、序でに……』
「Aが無理なら多分僕も無理だよそれ。僕もそれ出来てないもん」

今日は嫌な事が多すぎて辛いな、なんて思いながらがくりと肩を落とした。