にじゅうろく ページ27
しばらくして落ち着きを取り戻した体はゆっくりと倒れベッドに力無く沈む。
冷やし切られる隙もなく体温が上昇し汗がじんわりと滲むが不思議と心地が悪くない。
ただばくばくとまだ暴れている心臓の音だけが鼓膜を揺らしそれ以外の音が上手く聞き取れない。
「音……」
ああ、そうだ、
「俺だけなんは、狡いよなァ…両想いなんやから」
そう思い立ち盗聴器を購入するのは我ながらかなり手早かったと思う。
彼女が出掛けたのを見計らい、前々から常に施錠されていないと知っていた窓を開けて彼女の部屋に侵入し盗聴器を2つ仕掛けたのはそれから3日後のことである。
ふう、と息を小さく吐き出してもぞもぞとベッドに潜り込み部屋の電気を消す。
いやに大きく聞こえていた布が擦れる音が止んで、真っ暗な部屋はしんと静まり返りもう自分の呼吸しか聞こえない。
昔を思い出し辿って、思ったよりも時間が経っていたみたいだ。
明日だって起床の際の彼女の欠伸を聞いて起きるのだからもうそろそろ就寝しなくては午前の授業を全て寝て過ごす羽目になってしまう。
それでも別になんら問題はないが(彼女とも友人とも会話をすることが出来ない時間など退屈以外の何者でもない)
「……こないだは、Aの寝息よう聞こえたな…」
数日前、彼女は何を思ったのかパソコンの横に座らせている猫のぬいぐるみを抱きながら眠りについた。
もちろんその猫に盗聴器が仕掛けられているとも知らずに。
彼女の規則正しい寝息、たまに小さく漏れる可愛らしい声、健全な男子高校生がそれを聞いて眠れるわけなどなかった。
彼女はよく自分の恋心を気持ち悪いだとか申し訳ないなどと卑下するが、俺からしてみれば取るに足らない。
彼女が俺を見つめる様に、俺も彼女を聞いている。
同じ土俵に立った上で、俺はぐるぐると吐き出せない劣情を抱えているのだ。
気持ち悪いのは、寧ろこちらの方。
「はァ……いつか、いつか傍で聞きたいなァ、Aの寝息……」
あと少し、もう少し。
あの日から貴女を想い拗らせ膨らませてきた恋心がようやく報われる、貴女と共に幸せに熟れた赤い果実を食すのだ。
「すき、すきやで、ほんまにすき、」
届くはずのない言葉を譫言の様に吐きながら、閉じていく瞼をそのままに静かに眠りに落ちていった。
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える。(プロフ) - 白崎さん» こんにちは、える。です。わ〜！そう言って頂けてとっても幸せです…！お待たせしてしまって申し訳ない限りです…！これからもムラのある更新頻度ですが何卒見守ってあげてくださいまし！コメントありがとうございました！ (2月25日 11時) (
レス) id: 984bd7bc35 (このIDを非表示/違反報告)
白崎(プロフ) - 初コメ失礼します！本当にこの作品大好きで…！😭いつ更新されるかな？って毎日通知確認してました笑 待ってましたーって言わんばかりにとんできちゃいました🥹 これからも応援してます‼️😭頑張ってください😿♡ (2月24日 9時) (レス) @page38 id: 65a2c4ef0e (このIDを非表示/違反報告)
える。(プロフ) - ゆゆゆさん» こんばんは、える。です。ゆゆゆ様の好みを撃ち抜く事が出来て何よりです！たくさんのすきもありがとうございます、とってもとってもうれしいし執筆の糧になりますー！これからもどうぞ温かく見守ってあげてくださいまし、よろしくお願い致します！ (1月15日 1時) (レス) id: 984bd7bc35 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ - ほんとにこの文章で書ききれないくらいです…!!語彙力がなくて「好き」ばっかりの読みにくい文章でごめんなさい…!!🙇🏻♀️いつも楽しみをありがとうございますっこれからもずっと応援してます！ (1月14日 21時) (レス) id: 8a4843d7c9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ - 初コメント失礼します…!あのほんとにだいすきです…!!好きすぎてなんと言ったらいいか分からないくらいえる。さんの書く文章が好きすぎてもう…!!✨sypくんもciくんも親友ちゃんももちろん卯花ちゃんもみんな愛重くてお互い大好きな感じが私の好みどストライクで…!! (1月14日 21時) (レス) id: 8a4843d7c9 (このIDを非表示/違反報告)
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