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鞄から取り出したビニール袋をこちらに突き付けたまま彼は一瞬目を見開いた後段々と眉間に皺を寄せていき「…なんで」と一際低く呟いた。


『スマイルにこれ以上迷惑掛けるわけにはいかないから』

「今更じゃん。なに?寒いって文句言ったから?そう思うなら海に行く回数を減らして、」

『かえりたいの』




『おねがい、かえらせて……も、もう、やなの…陸に生きるのが苦しいの、息が上手く吸えないのっ…!海にかえらせて、かえりたい、海にかえりたいよお……っ!』


じわじわと心を喰らっていく寂しさに、恋しさに、遂には涙が止まらなくなり幼い頃の様に声を上げて泣く私を、彼は何処か寂しそうな表情を浮かべながらそっと抱き締めてくれた。
自分の体が濡れるのも厭わず、あやす様に背中をぽんぽんと撫でる。


「…お前には、この世界は生き辛いんだよな。もうずっと前から、息の吸い方すら儘ならなかったんだよな。気付いてたよ、ちゃんと」

『すま、』

「でもごめん。俺はお前を海になんてかえしたくない」





「だから何度だって迎えに来る、連れ戻しに来る。お前の手を、絶対に離さない。……Aのお願いを聞いてあげられなくて、我儘で、本当にごめん」











(困った様に笑うエゴイストに絆されて、私は今日も海に囚われながら陸で息をする)

終わり ログインすれば
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える。(プロフ) - すいみん。さん» こんばんは、える。と申します。すいみん。様の感情を揺さぶる事が出来て、更にはだいすきと言って頂けて感無量でございます。こちらこそありがとうございます!良ければこれからも見守って頂けたら幸いです、コメントありがとうございました! (12月1日 22時) (レス) id: 984bd7bc35 (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - ドチャクソに大大大好きです。最新話、号泣しました。この小説のコンセプトが好きすぎます……素敵なお話をありがとうございました……😭🙏 (12月1日 14時) (レス) id: f12e90341c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:える。 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2023年2月21日 18時

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