【unei】cntm. ページ41
海の魔物の話。
紺碧に輝く海が見渡せる小さな町、外れにある入江は大層美しくその町の名所と言っても過言ではない。
しかし満月の晩、潮の満ちる頃にその入江には絶対に近付いてはいけないと町の人々は口を揃えて言うのだ。
あの入江は餌場だ、この海には魔物が住んでいる。
哀れにも迷い込んだ者、魔物を倒してやると意気揚々と足を運んだ者。
誰一人として帰ってきた者はおらず、誰一人としてその姿を知る者はいない。
ただ一つ確かなのは、
その魔物は、今もまだ確実に息をしているということ。
「…っていう話、もしかして聞いた事がないの？」
墨汁を零した様な真っ暗な水面には煌々と輝くまん丸な月がぽっかりと浮かんでいた。
しかし彼女の瞳には、月の姿などまるで映ってはいない。
彼女の瞳を埋め尽くしていたのは、水に濡れ艶やかに月の光に照らされている紫がかった黒髪と、愉悦に弧を描いた美しい男の藤色の瞳であった。
「お嬢ちゃん、町の子じゃないのかな？迷い込んじゃった？それとも怖いもの見たさで来ちゃった感じ？好奇心は猫をも殺すって言葉は教訓として君達が作った言葉じゃないの？それとも単に君が知らないだけかい？ああ、ふふ、ごめん。ぶっちゃけどっちでも良いんだ、どんな理由であれ些細なこと、」
彼の足下から──否、10本の内2本の黒い触手の様な足が彼女にぬめりと纏わりつき逃がすまいとぎりぎりとゆっくり締め上げていく。
「君はどうせ、二度と帰れないんだから」
普通の人間ならば恐怖に泣き叫び顔をぐちゃぐちゃに歪ませて命乞いをする状況、しかしあろうことか彼女は笑っていた。
こんな幸せはないとばかりに、満足そうに笑っているのだ。
自分から1ミリたりとも視線を外さず微笑む彼女に彼は思わず首を傾げ、そして少しばかり興味がわいた。
「……変わったお嬢さんだね、それとももう気でも触れてしまったの？」
『私は、嬉しいのです』
ようやく開いた口から、その一言を皮切りに次々と言葉が溢れ出していく。
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える。(プロフ) - すいみん。さん» こんばんは、える。と申します。すいみん。様の感情を揺さぶる事が出来て、更にはだいすきと言って頂けて感無量でございます。こちらこそありがとうございます！良ければこれからも見守って頂けたら幸いです、コメントありがとうございました！ (12月1日 22時) (
レス) id: 984bd7bc35 (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - ドチャクソに大大大好きです。最新話、号泣しました。この小説のコンセプトが好きすぎます……素敵なお話をありがとうございました……😭🙏 (12月1日 14時) (レス) id: f12e90341c (このIDを非表示/違反報告)
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