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礼など要らないとばかりにぴしゃりと遮ると、彼女は踵を返して立ち去っていった。
その後ろ姿をぼうっと暫く見つめていたが急に心臓が大きく跳ね反射ではっ、と大きく短く息を吐く。
早鐘を打つ心臓を押さえ付ける様に胸をぎゅうっと押さえ息苦しさに俯き身を屈めた。
耳が、顔が、とても熱い。
なんだか目がちかちかして、彼女の姿が頭から離れない。
「なん、っなんて、きれい、綺麗だ…っ!かみさま、俺の!!!!………ああ、神様…」
一目惚れって、こういう事を言うのかな。
捨てようとした命を拾ってくれた神様に、俺は恋をした。
あれから、何かに取り憑かれた様に彼女の素性を調べた。
俺の記憶に焼き付いた容姿しか情報はなかったものの、戦場にいたことや戦闘においての身のこなしなどを加味すれば自ずと容易く素性は割れてくる。
彼女はAと呼ばれているフリーの女傭兵で、その戦闘力の高さからヴァルキリーの異名を持ち各国の軍から引っ張りだこらしい。
しかしどの軍にも属そうとはしない、どんなに脅されようとも返り討ちにしてまで拒むとの噂。
ヴァルキリー……戦女神……なるほど、俺の神様にぴったりの名前だ。
「…で?そのなかむの神様がなに?俺らになんの関係があるの?」
幹部専用の談話室で全員を招集し俺の初恋の話を事細かに話していたのだが飽きたとばかりにきりやんが口を挟む。
なんだよもう少し聞いてくれたっていいじゃん。
「まさか恋愛相談する為に俺達を集めたわけじゃないだろ?」
「僕はそれでもいいけどね〜なかむの恋バナ面白そう」
「バカ言えそこまで俺らも暇じゃねーよ。まァ、その女傭兵がウチに来て俺の手合わせの相手してくれるっつーなら続き聞いてやってもいいけどな」
「シャケすごエスパーじゃん」
「は?」
にやりと笑いながら肩を竦めていたシャークんが次にはぽかんと間抜け面を晒す。
そんな彼を押し退け慌てた様にえっ待って!?ときりやんが身を乗り出した。
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える。(プロフ) - すいみん。さん» こんばんは、える。と申します。すいみん。様の感情を揺さぶる事が出来て、更にはだいすきと言って頂けて感無量でございます。こちらこそありがとうございます!良ければこれからも見守って頂けたら幸いです、コメントありがとうございました! (12月1日 22時) (レス) id: 984bd7bc35 (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - ドチャクソに大大大好きです。最新話、号泣しました。この小説のコンセプトが好きすぎます……素敵なお話をありがとうございました……😭🙏 (12月1日 14時) (レス) id: f12e90341c (このIDを非表示/違反報告)
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