【wt】nkm. ページ32
神様に救われた話。
「お前らは俺と心中するんだ!!死ねえ!!!!」
軍の中でもトップレベルを誇る、6人の精鋭達によって構成された部隊。
俺はその一人だ。
誰にも負けない自信はあった、それでも驕らず慎重に確実に与えられた任務をこなしてきたつもりだった。
敵軍の罠にまんまと嵌り、こちらを囲みじりじりと警戒しながらも俺を捕らえようと近付いてくる兵士達。
恐らく俺を捕まえて、こちらの軍の情報を引き出すだけ引き出して俺を餌に脅そうとしているか、或いは戦力を削ぐ為に俺を殺すかなどと考えているのだろう。
その様な浅はかな考えなんて手に取る様に分かる、分かるからこそそんな奴らの罠に嵌ってしまった自分が許せない。
手早く懐から手榴弾を取り出し上記の台詞を喚いてピンに歯を立てた自分。
今思えば到底正気の沙汰とは思えない。
まあ、巻き込めるだけ巻き込んで爆散しようとしている時点で正気ではなかった。
或いは、自分の死をもって自分を断罪しようとしていたのかもしれない。
そんな時、彼女は舞い降りてくれた。
俺を囲む兵達を次々と、まるで舞う様に薙ぎ倒していく彼女はこの殺伐とした戦場に降り立った女神のようで。
短く上がる悲鳴、けたたましい怒声、それらの合唱の中で顔色一つ変えず凛としていた彼女に、俺は正しく見惚れていた。
どのくらい彼女に釘付けになっていただろう、気付けば辺りはしんと静まり返り、息をしているのは俺と彼女だけになった。
彼女は俺を視界に捉えるとつかつかと無言で近寄ってくる、その姿があまりに神々しく、立っていられなくなった俺はゆっくりと膝から崩れ落ちた。
黙って見下ろす彼女、黙って見上げる俺。
かち合った視線の熱がちりちりと音を上げて、この身が焼かれてしまいそうだった。
「どうし、て……なんで、助けて、くれたんですか……?」
なんとか絞り出したのはそんな些細な疑問だった。
掠れてしまってなんて情けない。
『気紛れ。貴方が、死のうとしていたから』
「あ、あの、あっ、ありが、」
『力があるのなら二度と命を捨てようとしないで』
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える。(プロフ) - すいみん。さん» こんばんは、える。と申します。すいみん。様の感情を揺さぶる事が出来て、更にはだいすきと言って頂けて感無量でございます。こちらこそありがとうございます!良ければこれからも見守って頂けたら幸いです、コメントありがとうございました! (12月1日 22時) (レス) id: 984bd7bc35 (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - ドチャクソに大大大好きです。最新話、号泣しました。この小説のコンセプトが好きすぎます……素敵なお話をありがとうございました……😭🙏 (12月1日 14時) (レス) id: f12e90341c (このIDを非表示/違反報告)
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