◆ ページ4
彼女はAだと名乗った。
長い旅をしているのだと話すと、長旅で疲れたのでしょう少しうちで休んでいってくださいと彼女の家に招いてくれた。
彼女と話す時間が、過ごす日々がとても心地好くて。
一週間、一ヶ月、一年と、あんなに長く感じていた月日があっという間に過ぎ去っていった。
彼女は何も言わず、まるで最初から二人で住んでいたみたいに振る舞ってくれた。
何時しか僕は、生まれて初めての恋をしていた。
僕の事を知って欲しくて、僕の素性も呪いの事も全て話した。
すると彼女は、その綺麗な瞳から何粒も涙を流して自分の事の様に悲しんでくれた。
そんなのあんまりだと、僕が可哀想だと。
こんなに心が暖かくなったのは何時振りだろう。
本当に女神様の様な貴女、暖かくて綺麗で優しい貴女。
もう大事な人は作らないと決めていたのに。
願わくば、貴女が灰になるその瞬間まで傍に居たい。
そう、思っていた。
彼女が病にかかったのは僕が彼女と出会って5年後の事だった。
怪我を治す魔法はあっても病を治す魔法などない。
魔法は万能ではないのだと痛い程思い知らされ、
あまりにも早すぎる別れの予感に焦りと動揺が体を蝕んだ。
心の準備はしていた、年老いた彼女を看取ると、最期まで傍に居るんだと。
でもこんなの可笑しいじゃないか。
神様は、僕から彼女まで奪うと言うのか。
そんなの認めない、許さない、赦しはしない。
『ねえ、ねえお願い、最期に聞いて。…貴方がすきよ、愛してた』
「……うん、うん、僕も、君を愛してる」
大丈夫、最期になんてさせないよ。
さあ、お眠り。君もよくがんばったね。
おやすみなさい。
177人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
える。(プロフ) - すいみん。さん» こんばんは、える。と申します。すいみん。様の感情を揺さぶる事が出来て、更にはだいすきと言って頂けて感無量でございます。こちらこそありがとうございます!良ければこれからも見守って頂けたら幸いです、コメントありがとうございました! (12月1日 22時) (レス) id: 984bd7bc35 (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - ドチャクソに大大大好きです。最新話、号泣しました。この小説のコンセプトが好きすぎます……素敵なお話をありがとうございました……😭🙏 (12月1日 14時) (レス) id: f12e90341c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ