【ntj】krna. ページ13
渡さない話。
夢を見ているのであれば、早く醒めてはくれないだろうか。
最近不吉な事が起こるなとは薄々思っていた。
2週間前、お隣さんで毎日朝に挨拶をしてくれていたお兄さん。
3日前、同じ学科で教室で良く話し掛けてくれた男の子。
昨日、同じサークルで私をとても可愛がってくれた先輩。
みんな、誰かの手によって殺されてしまったのだ。
お巡りさんによると、通り魔の無差別な犯行ではないかとの見解ではあるが犯人の目星は未だに付いていないらしい。
しかし皆一様に私と親しく接点がある為、私の犯行なのではないかと疑われ昨日はそれはそれはこってり搾られた。
冗談じゃない、私は本当に何もしていないし、なんなら仲の良かった人達が次々不幸に見舞われ恐怖を通り越して私が呪われているのではないかと思い始めていた。
今日だって意気消沈のそんな私を、同じ大学に通う幼馴染が元気づけようと飲みに誘ってくれたのだ。
私はそんな幼馴染の優しさに零れそうになった涙をぐっと堪え授業が終わったら大学の近くの公園で待ち合わせね!と微笑んでみせた。
授業が終わって、せめてもと身嗜みも整えて、大学を出て公園に入って、先に終わっているであろう彼にお待たせ!と駆け寄るはずだった。
最初に目に入ったのは透き通る様な青い瞳と流れる様な銀髪。
それからぽたりと赤を滴らせるナイフと倒れてぴくりとも動かない幼馴染。
『な、え、は…?』
人間は本当に驚くと悲鳴すら上げられないのだとこの時学んだ。
よくサスペンスドラマだとかで死体を見つけて金切り声を上げる女性を目にするが所詮フィクションなんだな。
こんな呑気な現実逃避をするくらいには、私の脳は今目の前に広がる惨状を受け入れる事を拒んでいた。
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える。(プロフ) - すいみん。さん» こんばんは、える。と申します。すいみん。様の感情を揺さぶる事が出来て、更にはだいすきと言って頂けて感無量でございます。こちらこそありがとうございます!良ければこれからも見守って頂けたら幸いです、コメントありがとうございました! (12月1日 22時) (レス) id: 984bd7bc35 (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - ドチャクソに大大大好きです。最新話、号泣しました。この小説のコンセプトが好きすぎます……素敵なお話をありがとうございました……😭🙏 (12月1日 14時) (レス) id: f12e90341c (このIDを非表示/違反報告)
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