◇ ページ12
ふと、空が暗くなっている事に気付き顔を上げる。
朝から夕方近くまで何もせずにぼーっとしていたのなんて初めてだな、そろそろ帰らなくては。
もう学校へ来る意味も無くなってしまった、明日は家から一歩も出ないでおこう。
そんな事を考えながら鞄を取りに教室へ向かうと、教室から大きな物音がした。
何事だと恐る恐る覗くと、数人の女子生徒が一つの机を囲みガンガンと音を立てて蹴り飛ばしている。
この世界から居なくなった、彼女の机を。
耳に入ってくるのはそれだけじゃなかった。
耳障りな甲高い笑い声、ちょっと虐めただけなのに、心の弱い奴、調子に乗って教室に来るからだ、死んで清々した、耳を塞ぎたくなる様な汚らしい罵声。
気付いた時には、真ん中で偉そうに彼女を侮辱していた女の胸倉を掴み殴り飛ばしていた。
**
「ご、め…なさ…」
「は？」
「──、く、やめ、……」
「誰それ、俺はそんな名前じゃねえよ」
「あ゛う…ッ！」
「俺はレウだ、レウクラウドだ」
彼女が付けてくれた、世界で一番大切な名前。
「あーいいや、呼ばなくて。お前になんか呼ばれたかないし。あーあ、お前の友達行っちゃったねえ？助けても貰えなくて可哀想」
お前が、お前らが追い詰めたAだって、誰にも助けて貰えなかったんだ。
助けてとも言えなかったんだ。
俺にだって、言えなかったんだ。
馬乗りになって振るい続けた拳が止まり、だらりと力が抜けた。
「っふ、う…うぅあ…うぅっ…ッ！」
怒りに死んでいた表情がくしゃりと歪み、ずっと流れなかった涙が止まらなくなった。
女からのそりと体を退かし両手で涙を拭っても次から次へと溢れてくる。
しゃくり上げる度に肩が跳ねる、息が苦しい。
ああ、こんなにも、すきだったなんて、
気付きたくはなかった！
──じゃあ、レウはもう大丈夫だね
こんな呪いの様な言葉を遺して、俺をこんな世界にまだ留めるだなんて！
君の居ない世界に意味なんて何処にもありはしないのに！
君が居たから、俺の世界は綺麗に色付いていたのに！
綺麗だ、きれいだよ、君が、君だけは、本当に綺麗だった。
彼女に、言えば良かったなあ。
(純潔は散らぬまま)
(綺麗なまま)
(この世界にさよならを)
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える。(プロフ) - すいみん。さん» こんばんは、える。と申します。すいみん。様の感情を揺さぶる事が出来て、更にはだいすきと言って頂けて感無量でございます。こちらこそありがとうございます！良ければこれからも見守って頂けたら幸いです、コメントありがとうございました！ (12月1日 22時) (
レス) id: 984bd7bc35 (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - ドチャクソに大大大好きです。最新話、号泣しました。この小説のコンセプトが好きすぎます……素敵なお話をありがとうございました……😭🙏 (12月1日 14時) (レス) id: f12e90341c (このIDを非表示/違反報告)
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