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両手で覆っていた顔を持ち上げ彼を見上げると優しく微笑んでいた。
あれ、どうして、いつもの優しい笑顔のはずなのに。
「俺さあ、Aが言う程綺麗でもないよ。寧ろ逆。ほんとはまだ見せないつもりだった、少なくとも今日は。でも嬉しいよ、Aも俺と同じ気持ちだったなんて」
いつも明るく私を照らしてくれていた太陽に暗い影が落ちていく様な。
「俺もね、Aとおんなじ事考えてた。もし俺の気持ちに応えてくれないなら殺してでも傍に置こうって。俺、Aの笑った顔が一番だいすきなんだけど、一生見れなくなるなら死んでたって一緒でしょ?動かない肉になってもそれがAなら傍に居たい、Aである事に意味があるから。でも、でも、ああもう良かった、ほんとに良かった!だってAも俺の事すきなんでしょ?俺の事殺してでも傍に居たいって!こんな最高の両想い他にある!?俺を理解出来るのはAだけだしAを理解出来るのも俺だけだ、もう絶対離れる事もない、これから死ぬまで、ううん、死んで幽霊になってもずっと一緒に居られる事が今此処で約束されたんだよ!こんな、おれっ、幸せで頭おかしくなりそう……!」
私の知る太陽が欠けていく。
私の知る彼が狂喜に歪む。
「ねえ、ねえA、キス、して良い?俺今、めちゃくちゃAとキスしたい」
『!あ、』
愉悦に目を細める彼が私の手を握る。
無意識に体が大きく跳ね、そこから小刻みに震え出しなかなか止まってくれない。
涙がまた溢れ出し唇までもがわなわなと震えて上手く言葉が出てこない。
そんな私を、先程まで愉悦に染まっていた瞳がスッと冷たく鋭く射抜いた。
「……もしかして怖いの?俺が」
『ぺ、いんとさ…、』
「逃がさないよ」
「今更逃がすわけないだろ」
(痛い程私の手を握る彼の手は、)
(まるで冷たく重い鎖のようだった)
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える。(プロフ) - すいみん。さん» こんばんは、える。と申します。すいみん。様の感情を揺さぶる事が出来て、更にはだいすきと言って頂けて感無量でございます。こちらこそありがとうございます!良ければこれからも見守って頂けたら幸いです、コメントありがとうございました! (12月1日 22時) (レス) id: 984bd7bc35 (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - ドチャクソに大大大好きです。最新話、号泣しました。この小説のコンセプトが好きすぎます……素敵なお話をありがとうございました……😭🙏 (12月1日 14時) (レス) id: f12e90341c (このIDを非表示/違反報告)
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