【ntj】pe. ページ1
恋に怯える彼女の話。
初めてだったの、こんなに人をすきになったのは。
太陽の様に眩しくて暖かい貴方に、私は恋をした。
暗くて人付き合いが下手な私にも、彼は優しく声をかけ楽しそうに過ごしてくれた。
明るくて、ヒーローみたいで、誰にでも優しい貴方。
だから私は、この恋に蓋をしなくてはいけない。
駄目なの、貴方の事になると私の心は薄汚く醜く澱んで歪んでいく。
どうしたら貴方をずっと傍に置ける?何処にも行けない様に手足を切り落としてしまえば良い?それとも目をくり抜けば良いの?永遠に眠らせてお人形さんの様に飾れば良い?心の臓を取り出して文字通り貴方の心を手に入れれば良いの?
──もう、懲り懲りよ。
そんな事ばかりが頭に渦巻いて、貴方の知らない所で貴方を穢してしまう。
こんな私に、貴方を慕う資格なんてないのよ。
それでも貴方の優しさに甘えて、貴方から離れられない私は本当に狡くて弱虫。
だから私に出来るのは、歪んだ恋心に蓋をしていつか貴方をすきな私を殺す事だけ。
そう思ってきたのに。ねえ、どうして。
「俺、すきなんだ。Aの事が」
ずっと欲しかった言葉のはずなのに、望んでいたはずなのに。
何時もの様に他愛も無い話をしていた所にふと呟かれたその言葉、ガタガタと私の体は震え出し涙はぼろぼろと零れ落ちて止まらない。
そんな私に慌てた様にごめんそんなに嫌だった!?と私の背を撫でる彼。
違う、違う違う違う!!!
『だめ、なのっ…!私は、貴方に相応しくない…!私は、貴方を殺してでも傍に置きたいだなんて身勝手で汚い思いをっ、…!だから、すきっ、だけど!私だって、すきだけどっ……こんな醜い私は、綺麗な貴方には相応しくない』
終わりだ、何もかも。
もうこれで彼の傍には居られなくなった。
でもなんだか心がスッと軽くなった様な気がした。
これで解放されるんだ、自己嫌悪からも袋小路のこの現状からも。
「俺が綺麗だなんて、誰が言ったの?」
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える。(プロフ) - すいみん。さん» こんばんは、える。と申します。すいみん。様の感情を揺さぶる事が出来て、更にはだいすきと言って頂けて感無量でございます。こちらこそありがとうございます!良ければこれからも見守って頂けたら幸いです、コメントありがとうございました! (12月1日 22時) (レス) id: 984bd7bc35 (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - ドチャクソに大大大好きです。最新話、号泣しました。この小説のコンセプトが好きすぎます……素敵なお話をありがとうございました……😭🙏 (12月1日 14時) (レス) id: f12e90341c (このIDを非表示/違反報告)
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