◆ ページ18
「…泣く程嬉しかったか？」
『え、』
先輩の言葉にはた、と気が付き指先で頬をそっと触ってみると確かにそこは濡れていた。
それを確認した瞬間、彼の言う通り自分は泣いているのだとしっかりと理解し堰を切った様に更にぼろぼろと涙が溢れ零れていく。
『ごめっ、なさ…ちが、あれ、』
言葉に出来ないくらい感情がぐちゃぐちゃで何故だが心臓も酷く脈打っているのに、この胸は優しく包まれた様に暖かい。
その暖かさに、どれだけ踏み躙られ罅割れた心が悲鳴を上げても一滴も溢れなかった涙が止まらなかった。
この人の言葉はどうしてこんなにも力強く眩しいのだろう。
深海から引き上げんと射し込む太陽の光の様な、安らかで穏やかな眠りに誘わんと照らす月の光の様な、どちらとも言え然れどどちらとも形容し難い先輩の言葉が、存在が、こんなにも心地良い。
泣き方を思い出した私の喉からは嗚咽ばかりが漏れ言葉が詰まって出てこない、それでもただ優しく私の背を撫でる先輩に申し訳が無くて、マグカップを持っていない方の手で涙を拭っているとぱしりとその手を拘束されてしまった。
「擦るな、腫れてしまうだろ」
『すみ、すみっ、ませ…っ』
「謝らなくていい、泣きたいだけ泣けばいい。……愛いな、もっとよく見せてくれ」
『趣味わる、』
「てめえ。このまま食ってしまってもいいんだぞ」
『ふっ、ふふ…死んじゃいます、よ？』
「ほんまに口の減らん奴やな」
『…あの、』
「ん？」
『わたし、とっても、うれしいです、』
「そうか」
『これはきっと、作り物だとか、そんなんやなくて…ほんとに、心の底から嬉しいんです』
「知っている」
『わた、…っ、わたし、を…ここにいさせてくれて、ありがとう…！』
手を引いて貰える事が、家族以外に優しさを与えられ受け入れられる事が、こんなに、泣き出してしまうくらいの幸福感に胸を満たされる様な事だなんて今まで知らなかった。
やっと落ち着いてきたと思っていた嗚咽がまた小さく喉から漏れ出し温かい涙が頬を伝って、重力に逆らうでもなく幾筋も落ちていく。
そんな私を見つめながらグルッペン先輩は、我らが総統閣下は、また優しく、それこそ絵画の様に美しく微笑んで。
「当たり前だ、言っただろう？自分を過小評価する愛すべき少女よ。我々は、お前を歓迎すると」
とっぷりと、微睡みの中にいる様な優しい夜は更けていった。
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える。(プロフ) - フレンチクルーラーさん» コメントありがとうねフレンちゃん！そう言って頂けるとモチベもたかいたかいになっちゃいます、これからもがんばるね！ (2月8日 7時) (
レス) id: 984bd7bc35 (このIDを非表示/違反報告)
フレンチクルーラー(プロフ) - えるち、楽しいよー。ワクワクしてます (2月6日 19時) (レス) id: c6e205f5c8 (このIDを非表示/違反報告)
える。(プロフ) - 小豆さん» 初めまして、える。と申します。まあ！一気に読んで下さっただなんて！加えて続編まで楽しみにして頂き、作者冥利に尽きます。たくさんありがとうございます！これからもまったりがんばっていきますので、何卒よろしくお願い致します。コメントありがとうございました！ (12月12日 7時) (レス) id: 984bd7bc35 (このIDを非表示/違反報告)
える。(プロフ) - 名無しの高校生さん» おはようございます、える。です。名無しの高校生様！いつも暖かくて素敵なコメントをありがとうございます！貴女様の言葉に、当方毎度救われております。これからもぼちぼち精進して参りますので、何卒見守って頂けたら幸いです。コメントありがとうございました！ (12月12日 7時) (レス) id: 984bd7bc35 (このIDを非表示/違反報告)
小豆 - 初コメ失礼します！そして、続編おめでとうございます！1〜4をイッキ見して、5がでるのを楽しみにしていました！お体に気をつけて下さい!応援しています! (12月10日 15時) (レス) @page6 id: a88cfbd51d (このIDを非表示/違反報告)
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