◇ ページ11
扉を開けると、そこは薄暗い廊下などではなかった。
驚いて引き返そうとする前に一歩踏み出した足が床につき、はっと気付いた時には見たこともない部屋に立っていた。
自分の身に起きている非現実的な現実を目の当たりにし、頭はこんがらがるし心臓はばくばくと早鐘を打っている。
呼吸をするのも何故か憚られ小さく浅く繰り返しながら辺りをゆっくりと見渡していく。
セピアカラーの大きな地球儀が大半を占め、狭いスペースに乱雑に散らばった書類とインク瓶、その近くに万年筆が鎮座しているデスクが真ん中にどんと置いてある。
そしてそのデスクをまるで囲む様に本の柱が幾つも立っていた。
この部屋の壁が本棚なのではと疑うほど一面に本棚が並び、そこにもびっしり本が敷き詰められている。
少し散らかった、小さな図書館みたいだ。
『…どこ、？』
やっと絞り出した言葉はか弱く震えていた。
肝試しで開けてきたどの部屋とも違う、もしかしてここはグルッペン先輩に開けるのを止められたあの七つ目の部屋？
でも私、六つ目の部屋から出ようとして扉を開けたはずなのに、どうしてこんな所に？
こんな摩訶不思議な体験、今まで一度もした事がない。
なんなら夢であって欲しい、こんな事起こるわけがないって思いたい。
現実は小説より奇なりってほんとだったんだな。
夏にしてはひんやりとしていた部屋の空気が一層冷たくなった様な気がしてふるりと体が震え、何気なしに逸らした視界の先に誰かが立っていた。
思わず小さく悲鳴が漏れ咄嗟に口元を押さえつけて勢いよく後退る、ガタンッと固く閉じられた扉に背中をぶつけ多少痛みに体が軋んだが今はそんな小さな痛みに構ってやれる余裕はない。
居なかった。
断言してもいい、先程まで確かにこの部屋には私以外誰も居なかったのだ。
その人影はするり、とデスクを一撫でした後、こちらにゆっくりゆっくり近付いてくる。
うわどうしよ、めちゃくちゃ怖い。
本物との対面怖すぎる。
これは作り物だ、グルッペン先輩がきっと頼んだ肝試しのお化け役の人だって思いたいのは山々だが生憎と既に私の脳は人ならざる者であるとこの人影を認定してしまった。
本棚に挟まれていた窓から、月の光が差し込んでいる。
ゆっくりとこちらに歩み寄っていた人影がその光に照らし出された。
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える。(プロフ) - フレンチクルーラーさん» コメントありがとうねフレンちゃん！そう言って頂けるとモチベもたかいたかいになっちゃいます、これからもがんばるね！ (2月8日 7時) (
レス) id: 984bd7bc35 (このIDを非表示/違反報告)
フレンチクルーラー(プロフ) - えるち、楽しいよー。ワクワクしてます (2月6日 19時) (レス) id: c6e205f5c8 (このIDを非表示/違反報告)
える。(プロフ) - 小豆さん» 初めまして、える。と申します。まあ！一気に読んで下さっただなんて！加えて続編まで楽しみにして頂き、作者冥利に尽きます。たくさんありがとうございます！これからもまったりがんばっていきますので、何卒よろしくお願い致します。コメントありがとうございました！ (12月12日 7時) (レス) id: 984bd7bc35 (このIDを非表示/違反報告)
える。(プロフ) - 名無しの高校生さん» おはようございます、える。です。名無しの高校生様！いつも暖かくて素敵なコメントをありがとうございます！貴女様の言葉に、当方毎度救われております。これからもぼちぼち精進して参りますので、何卒見守って頂けたら幸いです。コメントありがとうございました！ (12月12日 7時) (レス) id: 984bd7bc35 (このIDを非表示/違反報告)
小豆 - 初コメ失礼します！そして、続編おめでとうございます！1〜4をイッキ見して、5がでるのを楽しみにしていました！お体に気をつけて下さい!応援しています! (12月10日 15時) (レス) @page6 id: a88cfbd51d (このIDを非表示/違反報告)
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