◇ ページ22
『?まだ起きていたのですかエーミール』
がちゃり、と聖堂の扉が開かれ驚きから祈りをやめ立ち上がりそちらを見た彼女は見慣れた男の姿に安堵した様に息をつき優しく笑みを浮かべながら尋ねた。
彼からの返答はない。
ますます不思議に思った彼女は『どうかしましたか?』ともう一度言葉を投げた。
刹那。
エーミールは駆け足で彼女に駆け寄り反射で逃げ出そうとした彼女を乱暴に床に組み伏せた。
小さな悲鳴を上げた彼女の手から投げ出された蝋燭は幸いにも何処を燃やす事もなく石の床を転がりゆらゆらと弱々しく2人を照らしている。
逃がすまいと彼はAの下腹部辺りに腰を下ろし多くの驚きと少しの恐怖が入り交じった表情を浮かべながら声も出せない彼女を見下ろしながらにや、と口角を上げた。
ああ、なんて、うつくしい。
ずく、と体の奥の方が熱く疼く。
『エー、ミール、…?』
「A、A、ああ、シスターA……久しぶりに、私の懺悔を聞いては頂けませんか?初めて私達が出逢ったあの日の様に」
『え、ええ、聞きますよ。私も主も、いかなる時でも貴方の懺悔を聞きましょう。でも、あの、まずはそこから退いて、』
「シスターA、私は貴女の下僕です」
Aの言葉など端から聞く気がないのか、男は尚も彼女を見下ろし笑みを浮かべたまま懺悔を始めた。
「私は貴女に救われた、あの日から貴女は私の光であり付き従うべき神となったのです。貴女が主を慕う様に、私も貴女に全てを捧げると決めたのです。傍にいられたら、貴女の役にさえ立てるのなら、それだけで良かったはずやった。なのに、私は、俺は、貴女がどうしても欲しくなった…!毎晩毎晩脳裏に浮かぶのです、貴女の唇に喰らいついて、邪魔臭い布を引き千切って、めちゃくちゃに穢して抱き潰す様を!!貴女が俺によがり縋る顔を想像するだけで頭も体もぐちゃぐちゃになりそうや!!!…ああ、A、シスターA?貴女にこんな劣情を抱いてしまって、私はなんて愚かで穢らわしい男なのでしょう。でも、貴女なら赦してくれますよね、?貴女の言う主もきっと赦してくれるのでしょう?いつもの様に、さあ、赦すと言って、俺の聖母様…」
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