！おさななづくし！ (ページ5)

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君は私のマリオネット / syp ページ5

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「一生俺の手のひらで転がってればええんや」

徐々に強くなる力と比例して、息が荒くなる目の前の男。
息ができない。脳に酸素がまわらない。頭痛がしてきた。
抵抗する気力はなかった。
ただ、ぼーっと首を締めている男を眺めていることしかできない。

かわいそうな人。
目をかっ開いて「くそッ、ホンマに…」とぶつぶつ汚い言葉を呟く彼に私はそっと頬に手を添えた。

私には塩戸翔という幼馴染がいる。
あだ名はショッピ。
なぜショッピと呼び始めたのかは忘れてしまった。
彼はまあ器用で、何事もそつなくこなしていた。

私はそんな彼にいつも助けられてばかりだった。
不器用で、泣き虫。鈍臭いし、運も無い。不憫の子だった。

「おりがみ、うまくおれないよ〜！」と泣きついた時。

「やーい泣き虫！」といじめられた時。

「いたいよー！」とかけっこで転んだ時。

「わたしのアイス！」アイスを落とした時。

「しかたないなあ」と手を差し伸べてくれた。
そんなどうしようもない私といつも一緒にいてくれたショッピ。

幼馴染ということもあり、私は困った時はいつもショッピに頼っていた。
頼りになる友人がいなかったわけではない。
彼があまりにも頼りになるのが悪い。

「ホンマ、いつも俺んとこくるな」

「だって一番安心感があるんやもん」

「そりゃ何年も一緒におるからな」

小さなテーブルの上に用意されたチョコと煎餅、そして私の好きなホットココアが注がれた可愛い猫のマグカップ。
ん、と差し出されたそれを「ありがと」と言ってありがたく受け取った。

相談するときは決まってショッピの家にお邪魔していた。
いくら泣いたってお母さんにバレることはないし、気持ち的にもそっちの方が楽だから。

熱々のココアが少し冷えるまで待っていたら、自然と涙が溢れて、落ちる。
静かに泣く私を横目にショッピはスマホをいじった。
こういう時の彼は不器用だった。

でもこれは彼なりの優しさなのだ。
そう言い切れるのは私たちが幼馴染だから。
コテっと少し傾いて彼の身体に寄りかかったら頭を優しく撫でてくれる。
冷たい彼の手がその時は酷く心地が良かった。