！おさななづくし！ (ページ3)

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キーンコーンカーンコーン
チャイムの音が下校時刻を告げる。

リュックサックの中にテキトーに教科書やノート、今日配られたプリントファイルに入れを突っ込む。
教科数が多かったのか、はたまた朝からのダル絡みに疲れたのか、今日はやけに肩が重く感じる。
今日はもう近道で帰ろう、そう心に決めながら階段を下りた。

『ただいまー』

誰もいないリビングに自分の声が響き渡る。親は共働きのためいないことがよくあるが、妹がいないことには少し驚いた。まぁどうせ友達と近くの公園へ遊びに行ってるんだろう。小さい子たちの体力はいいなぁ……でもせめて鍵はかけて行ってくれ頼むから。

いや、そんなことはどうでもいい。今はこのクソ重い荷物を置きにいかなければ。
もうクタクタの足に鞭を打ちながら自室がある二階へ向かう。階段は登るたびにギシギシと音を立てていた。

『ふぅ…』

思わずそんな声を上げながら机の上にリュックを下すと本棚のある一点に目が行く。
そう、幼稚園の卒業アルバムだ。分厚い紺色のいいやつっぽそうな紙を表紙に金箔で幼稚園名と共にいつ卒業したかなどが記されている。
昔の自分に思いをはせながら床に座り、アルバムをペラペラとめくってみる。今よりはるかに小さくて可愛い自分の姿を見つけ思わず懐かしくなってしまう。

そういえば、幼馴染だと言い張っていた彼はどこだろう、気になり探してみる。
三組くらいに分かれている園児紹介のページを一枚一枚丁寧にめくって見てみるも、

ない、どこにもない。

「あーあ、バレちゃった」

「知らんくてよかったんに」

「Aってほんまにそういうとこ、かわええな」

その声が聞こえたと同時に私の意識は暗闇の中に落ちていく。
部屋にはガン、という鈍い音が響いていた。