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『ん？』
「昔からそうやんな、俺の顔が女の子みたいで可愛いすきや言うてさ。お前にすきって言うて貰えるんやったら悪くないなって思ててんけど………ここまで意識されへんのはさすがに腹立ってきた」
ぐんっ、と体が傾く。
状況を把握する間もなく気付いた時には彼の膝の上に乗せられ後頭部に手を添えられて引き寄せられるとあたしが言葉を発する前にその唇は彼の唇によって塞がれた。
『！んっ、』
10秒にも1分にも感じた時間合わせられた唇はちゅっと可愛らしいリップ音を立てて離れていった。
あたしの頭が理解するのを拒んでしまう、は？え？なに？
「…なあ、意識してくれた？」
あたしは今、メイド服を着た可愛い女の子にキスをされた？
いや、違う、可愛い女の子じゃない、
悪戯に目を細め口角を上げている目の前の幼馴染はどう見たってかっこいい男の子だ。
あれ、なんで、あたしの幼馴染はずっと、昔から今の今まで可愛いはずで、あれ？
顔に熱が集まりどくどくと心臓が煩いくらいに跳ね上がってくる、ちかちかと眩しくなる視界に映る幼馴染がかっこよくて仕方がない。
うわ、やだ、彼はちゃんと男の子だ。
「そんな顔されたら、止まらんくなるやん」
自身の唇をぺろりと舐め未だ後頭部に添えられている手とは別の手が、私の指を絡め取り私の手をそのままぎゅっと握り締める。
ああ、うるさい、やめて、ここから出たい、
「おーい！まだ終わらんのー？みんなシャオロンのお披露目待ちなんやけどー？」
「やかましわ！もうちょいで終わるから心して待っとけ！」
空き教室の外からクラスメイトの声が聞こえはっとふわふわとしていた意識が現実に戻ってくる。
声を上げようとしたあたしをまた阻む様にシャオロンが声を上げるとけらけらと笑いながらはいよーとクラスメイトが遠ざかっていくのが聞こえた。
ああもう、解放されると思ったのに。
「……ふふ、俺のなっがい片想い、やっと成就しそ〜」
『しゃお、』
「なあ、リップずれてもたから直さなあかんと思うんやけどさ…俺、まだ足りひん」
蜂蜜を溶かした様な瞳があたしを逃がすまいと捕え、薄く形のいい唇は甘えた様に息を吐き出す。
「A、……いい？」
ああ、ムカつく。
そうやって言われたらあたしが断れないのを、この男は何年も前から知っている。
まんまとやられた。
(彼の唇が柔らかかったことを2度目のキスでようやく理解出来た)
レモンの味とは程遠い/nkm→←ああ、うるわしのきみ！/sha
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