There is no use crying over spilt milk./br ページ13
Aとぶるーくは幼馴染だった。
外国から日本に来た幼いぶるーくが預けられた幼稚園で言葉の壁にぶち当たり独りぼっちでいた所をAが声を掛けて仲良くなった。
明るく花が咲く様によく笑う可愛らしい少女にぶるーくは一生冷めない恋をしたのである。
それから成長にしていくにつれ、聡明だった彼は日本語を完全にマスターし持ち前の性格と美しい容姿で途端に人気者になった。
片や彼女は小学校高学年辺りから人気者の幼馴染というだけで言われのない虐めにあいそれまで明るかった人格はなりを潜め内気で暗い女の子になってしまった。
前髪も後ろ髪も伸ばしっ放しにして、きゅるりとした瞳も愛らしい顔も滅多に見えなくなったがそれでも彼の恋心が冷める事はなかった。
中学2年の夏休み、彼女の部屋で唐突に彼女の唇を奪い愛の告白をした彼。
もちろん驚いたが同じ様に彼に淡い恋心を抱いていた彼女はその告白を受け入れたのである。
彼にとっても彼女にとっても、人生で一番幸せな日となった。
そして彼は再確信したのである、彼女の隣に居るのも添い遂げるのも昔から彼女を見つめてきた自分しか居ないと。
しかし彼には、
「あ」
悪癖があった。
誰よりも彼女に執着し愛を貪欲に求めそして嫉妬深い彼は、彼女からの愛を確かめる為に自分のポテンシャルをフル活用しお遊びを繰り返した。
その度に泣き捨てないでと縋る彼女の愛を確認し満足するとぽいっと女を捨てて吐き出しそうになるくらい甘ったるい愛を彼女に与えるのだ。
今回もそう、彼女を部屋に呼び付けておきながら他の女を部屋に連れ込み組み伏せて口付けている所をやってきた彼女にばっちりと見られてしまった。
『……失礼しました』
寝室のドアを開けたまま固まりそれを凝視していた彼女はぽつりと呟くとドアを閉め足早に彼の部屋を後にする。
きっと自分の部屋に帰って行ったのだろう、ベッドに体を沈め枕に顔を埋めて啜り泣く彼女の姿を想像して思わず口角が上がり女の上から体を退かすと「もういいよ、僕今から用事あるから帰って」となんとも身勝手で冷たい言葉を吐き出した。
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