！おさななづくし！ (ページ11)

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バッと起き上がりベッドから慌てて飛び出すもののがちゃりとドアノブが回り始めたのを見て服を着るよりも先にドアが開くのを阻止しなければとドアに向かって駆け出したが、尽く運のない私は床に転がしたまま放置していた半分程減った炭酸飲料のペットボトルを踏みバランスを崩してしまった。

ドアが開いた瞬間、驚いた様に目を見開いた幼馴染の胸に飛び込み勢いそのままに幼馴染と共に倒れ込む。
ゴンッ！と大きく鈍い音がしたので恐らく彼は壁に後頭部を打ち付けたに違いない。
なんだこのラブコメみたいな展開は、現実は小説より奇なりってか？最早笑えてきた。

「いっ、た…」

『……あの、ごめ、』

「おいカス」

ブチ切れ確定演出をどう回避しようかと彼の胸に顔を埋めながらぐるぐると考えていたが取り敢えず一旦離れようと小さく謝りながら体を起こそうとした私の腰に腕を回しぐっと力を入れて、まるで地を這う様な低音で開幕罵倒をかます幼馴染。
控えめに言って死である。

「俺ちゃんと言うたよな？服着とけよって」

『はい』

「大丈夫って言うたよな？いくらなんでもチーノ来るんやったら服着るわ〜！ってわろてたよな？」

『はい…あの、チーノ、は？』

「お前のこと全然信用出来ひんかったから下で待たしとる」

『しょぴ〜〜〜！お前のそゆとこ〜〜〜！有能愛した〜〜〜！』

「愛した……そう……俺も愛しとるよお前のこと」

「愛しとるから大事にしたいのに、阿呆で鈍感なAちゃんは危機管理能力も貞操観念も低いもんなァ？柔らかいモン押し付けられて、挙句ほぼ裸見せられて我慢しとるこっちの気持ち考えた事ある？おまけにそんなあられもない格好を他の奴に見せようとしてたん？ふはっ、腸煮えくり返って頭可笑しくなりそう。もういっそワイの手でお前の事ぐちゃぐちゃにしたったらええんか？そういや俺ん家にずっと泊まりたがっとったなァ？そのあとお望み通り俺の部屋にずっと居らしたろか？外には出してあげられへんけど大丈夫やで、うちの親にもAの親にも上手い事言うとくから。俺、そういうの得意やから」

入れてしまった、彼のスイッチを。