！おさななづくし！ (ページ2)

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sha side

目の前のどんよりと曇った空のような表情を浮かべる女、畠 Aは俺の幼馴染だ。
幼稚園以来の縁なもんで、覚えてるかは知ったこっちゃないけどな。

「(やっと、やっと会えた！)」

そんな昂る感情と共に紅潮する顔、そして緩む口元を隠しながら確認のため声を出す。ここでA本人じゃなかったらカッコ悪いにも程がある。

『ぇ、あー…そうだけど』

返答はいかにも、いや誰やねんお前！とでも言いたそうな声色だったがそんなことはもうどうでもいい。
なんでって？そりゃあもう、十年以上も会えてなかった幼馴染に会えたら誰やって嬉しいやろ？
思わずはち切れた思いが次々喉を通って言葉になっていく。

「なぁなぁ、俺のこと覚えとる？」

「俺今Aにまた会えてめっちゃ嬉しい」

「コレ終わったら連絡先交換せぇへん？あ、やなら別にええけど…」

「そーいやどこらへん住んどるんやっけ。今度案内してや」

「てかこの前あそこの駅のチーズケーキが美味い店見つけたんよ。今度一緒に行かん？たしかA好きやったやろ」

目の前の彼女は頬杖をつきながら窓の方をじっと見ている。まるで俺の話なんてなんにも聞いていないようだ。

「おーいA？ちゃんと聞いとるか？」

『ぁーうん。聞いてるよ』

「ほんまにぃ？」

『ほんとだよ』

「ほーん」

その後も俺は何を話したか忘れるくらい話し続けた。
まぁ、その後Aとずっとしゃべってたんの担任にバレて怒られたけどな。