おまだれ？/sha ページ1
おまだれとは、お前誰？の訳である。
「お前、Aやろ」
「なぁなぁ、俺のこと覚えとる？」
私の席の前に居座る容姿端麗の男、
まず勘違いしないでほしいのだが、彼とは完全なる初対面である。そう、初対面。
てかコイツ馴れ馴れしいな！
まぁ、流石にこのまま無視するのは感じ悪いので控えめのYESで返しておく。
いやマジほんとにこの人なに？そろそろ絡んでくるのやめてほしいんだが…
そんな私の思考を知らぬまま、顔のいい男に絡まれているからか周りの女子たちに羨望や嫉妬が混ざった視線がヒリヒリと肌に突き刺さる。
一方で、彼はまるで気にしないようにしゃべり続けている。こんな状況いたたまれない、そう抗議の視線を送るも話に熱中していてまったく気づいていないようだ。
「おーいA？ちゃんと聞いとるか？」
あ´ーーーーーーもう鬱陶しい！！！！！！
まったく、なんでこんなことになったんだろうか…。
思わず溜め息を吐きそうになるがグッと堪え、目の前の男をどうしようか頭を抱えた。
午前八時半頃
HRにて、
「今日は転校生が来るぞー」
そう担任の気だるげな一言によりガヤガヤと騒がしかった教室が更にうるさくなる。
それから少し時間が経った時。
ガタン、という扉を開く音が聞こえると一気に静かになる。
「大阪から来ました。木瀬 紗尾です。気軽にシャオちゃんって呼んでな！」
「これから一年間よろしくな！」
「こっからは木瀬へ質問する時間にするぞー」
やけに間延びている声を上げながら退出した担任や女子生徒たちの猫撫で声ともいえるような高い声を無視し、窓際の席に座っている一人の女子生徒の方へ向かっていく転校生こと木瀬。
誰もが予想しなかった行動に視線が集まる。
そしてこう、一言。
「お前、Aやろ」
そして冒頭に戻る。
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