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覗き込んできた空色に顔を上げる。心配そうに瞳を揺らしながら首を傾げるAに、へらりと笑みをこぼした。
『シャオロン？どうかしたん？』
「…んや、あの大先生が結婚なんてなあって思ってん」
『っふふ、昔は鬱くん女の子取っかえ引っ変えやったもんなあ…』
そう言って学生時代を思い出す彼女は、昔よりも確実に大人の女性らしくなっている。それでも、すごいすごい！と瞳を輝かすところは相変わらずだが。隣の家で、同じ小中高と生活を送って。気付けば大学も学部は違ったが同じところへと進学して。着実に大人へと成長していく中で、告白されているところを見たこともあるし、彼女に彼氏がいた時もある。それは俺にも言えることで、何度も告白もされたし、なんなら先日まで彼女も居た。
綺麗な茶髪に、空色の瞳を持った可愛い女の子。小柄で優しくて、思わず守りたくなってしまうような。人の良いところを悪いところをちゃんと言葉に出来る俺には勿体ないような女の子だった。そんな彼女との日々は幸せだったけれど、どこか違う、と感じてしまって、それを察させてしまったのも俺だ。
「私と、別れて欲しい」
「…なんでか、聞いてもええ？」
「んーと、なんて言えばええんかな……なんか、」
シャオロンくんの隣は、私ちゃうな、って思ってん。
「…は、」
「ふふん、女の子は、好きな人のそういうところには気付いてまうもんなんやで。シャオロンくんも、1番大切な女の子が誰か、分かっとるやろ」
「…それって」
「Aちゃんのこと。私やってあの子と友達やもん。分かるよそんくらい」
多分それは、無意識な特別扱いだったのだと思う。それまでずっと幼馴染やから、という言葉で誤魔化してきたそれに気付かされたのはたったの数日前で。それを教えてくれた元恋人の彼女は、私の大好きな友達を幸せにせんと許さんからな？、と笑っていた。
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